「薄利多売」を打破するネット広告代理事業へ

広告代理店のビジネスモデルを考える

ネット広告は薄利である

実際にこれは自分たちも代理店にいた立場なのでいやというほどわかるのですが、いわゆるインターネット広告(Web広告とかデジタル広告とか)は他の広告商材と比較した時にかなり薄利であり、だからこそネット広告事業を黒字化するためには様々な取り組みが必要になってきます。

ことに最近よく聞くようになったのが「平準化」を進めることで広告代理店の社内工数を減らす努力はもちろん必要ではあるものの、それでも労働集約的な仕事になることは避けられない現実ですし、多くの代理店さんがその「薄利多売の壁」を乗り越えるための努力を日々行っている現実があることは皆さんご承知の通りでしょう。

「労働集約」は日本だけの問題ではない

さて、それでは世界最大のネット広告市場であるアメリカのケースを見てみましょう。米国のマーケットリサーチ会社であるIBISWorld社のリサーチ結果を見ていただきたいのですが

https://www.ibisworld.com/industry-statistics/number-of-businesses/digital-advertising-agencies-united-states/

The Digital Advertising Agencies industry in the US is labor intensive which means businesses are more reliant on labor than capital. 

IBIS World : Digital Advertising Agencies in the US – Number of Businesses 2005–2027

つまり、実はネット広告代理事業というビジネスモデルがそもそも労働集約であることは、実は日本だけの特殊な現実ではなく、世界中の広告代理店が直面している問題であるとも言えますし、であればこそ諸外国の事例も含めて自社でも流用できる解決策を考えてみることは無駄ではなさそうです。

かくいう私も、リスティング媒体に在籍していた当時から運用における自動化やツール化などを推進してきましたが、やはり諸外国は単なる「業務の平準化」ではなく「平準化した後ツールを使って自動化する」というところまで見越した業務設計をしているケースも多く、そういった事例は非常に参考になっています。

代理店の「労働集約業務」を限界まで減らすために

そういう意味で、弊社が2020年の11月から米TapClicks社との共同事業として日本で提供している「Smartレポーティング」は上記にあるような「労働集約型」の仕事を徹底的に減らすことを志向しています。

もともとTapClicks社自身がマーケティング担当者や代理店出身者によって設立された会社でもあるのですが、代理店の「労働集約」になっている業務を軽減するためのプロダクト、という思想が極めて明確です。

例えばいわゆるレポートツールの場合、各媒体からレポートをAPIで引っ張ってきて「レポートのダウンロードと集計作業」を減らすことは可能です。しかしながら「レポート」はダウンロードして集計された後、クライアントにわかりやすい定例資料のフォーマットに修正しなければなりませんし、その際にエクセルでグラフを作る作業はどうしても出てきてしまいます。

もう少し踏み込んで考えると、今度は「APIで広告媒体とつながったダッシュボード」であれば、上記にある労働集約的な作業がなくなるかとも思われた時代があるのですが、残念ながらそれらの仕事はなくなりませんでした。というのも、最終的には「提案書」や「報告書」というドキュメントにまとめる仕事はどうしても出てきますし、その際には代理店としての見解や改善施策もまとめた「プレゼンテーション」の形式にまとめる必要があるからです。

つまり「レポートツール」や「ダッシュボード」は確かに「業務負荷は減らす」のですが、それでも「資料を作る」という稼働をゼロにはできません。もっというと本来「レポートツール」や「ダッシュボード」で資料を作ることを置き換えることが期待されたことがあったわけですが、やはり提案「資料」を作る工数は存在するわけです。

Smartレポーティングのメリット

前回のBlogでも書いた通り、実はSmartレポーティングを導入していただくことで、この「レポートを中核としたクライアントへの報告業務」にかかわる時間をゼロにできた事例が日本でも出てきました。

というのも、Smartレポーティングでは「媒体からのデータ取得+ダッシュボード構築+プレゼンテーション作成」までがほぼ自動で完結する仕組みをご提供しています。つまり最初にテンプレートを設定しておけば、あとはツール内で必要な形に整形、レポートの報告様式に乗った編集を完結させることができ、さらに自動的にレポートをクライアントに送付する機能も含まれているため、数値の報告資料であれば原則工数ゼロですべてが完結するということになります。

さらに言うと、従来であれば画像の貼り付けなどで手間のかかるクリエイティブ(画像)ごとのレポート作成にも対応していますし、パラメータなどで名寄せする作業が煩雑になりがちな、CRMデータや外部計測ツールとの結合データの処理も可能です。

弊社としてはSmartレポーティングをご活用いただくことでより工数を削減し、運用担当者やコンサルタントの方々がもっと自分のアイデアを駆使した提案活動にシフトできるお手伝いをしていきたいと考えていますし、そういう意味で研修事業とレポーティングプラットフォームの両面から広告代理店さんの事業拡大のお手伝いを引き続き続けていきたいと考えております。