1. 宮崎県都城市でデジタルマーケティング研修を実施しました!
「肉と焼酎の街」としての認知を拡大し続ける宮崎県都城市。ふるさと納税では、ふるさと納税額が10年連続のTOP10入り、かつ直近9年で5度目の日本一を達成しその勢いはとどまるところを知りません。
また、令和6年度は大幅な移住者増加により、13年ぶりの人口増加で話題となりました。多くの人に自分達の住む街の魅力を発信し続け、「選ばれる自治体」であり続ける対外的PR戦略には目を見張るものがあります。
宮崎県都城市というと、実は、弊社代表が宮崎県出身だったり、都城市出身の社員がいたりと…、縁とゆかりが深いとても深い場所なんです!本日はそんな都城市でsembear合同会社が実施した「デジタルマーケティング研修」のレポートをお届けします!
2. 街の「魅力」を伝える情報発信と、「困った」を解消する情報発信
行政の情報発信の側面を切り出すと、大きく2つ目的に分類することができます。
街の「魅力」を伝える情報発信
一つ目は街の「魅力」を伝える情報発信です。地域の観光資源や特産品、イベント情報など街の魅力を発信することで、市外の方に地域の魅力を伝えたり、住民の方に自分達の住む街の魅力を再認識してもらうことが出来ます。「街の魅力を伝えること」で地域経済の活性化や人口増加のきっかけとなるほか、シビックプライドの醸成にも繋がり最終的な定住人口の増加に繋がるとも考えられます。
住民の「困った。」を解決する情報発信
一方で、もう一つの重要な考え方は住民の「困った」を解決する情報発信です。これは、日常生活の中での悩みや課題に対して迅速かつ的確に情報を届けることを目的とし、行政サービスの利用方法、防災情報、地域のインフラに関するお知らせなどが含まれます。住民の安心感や満足度を高めるだけでなく、地域全体の信頼感を醸成する重要な要素です。
これまでも、目をひく対外的なプロモーションやふるさと納税に関する特産品の情報発信など工夫をしてこられた都城市さまですが、より多くの職員の情報発信のスキル向上し、どのような情報発信の在り方を目指すか、今回研修を担当するデジタル統括課 野田さんともお話ししながら決めていきました。
当日は、三股町・日向市からも多数ご参加いただき、合同で研修を実施しました。
3. 宮崎県都城市、職員のデジタル情報発信力向上を目指して
それでは、今回の研修の目的を改めて野田さんにお伺いしてみましょう。
対外的なPRには特定の職員が関わって良くなっている一方、より多くの職員が情報発信に関して、もっとわかりやすいものを目指したいと思いました。
これまで市公式ホームページも「もっと市民にとってわかりやすく!」を目指して見直しなどもしてきましたが、やはりどんどんページは更新されるので、職員のレベルアップをしていきたいと考えていました。
研修を弊社にご依頼いただいた理由を教えていただけますか?
真岡市で実施されているシティプロモーションの事例を拝見させていただき、興味を持ったことがきっかけです。私自身も情報発信においては、市民にしっかり届かず、歯がゆい思いをしたこともありました。そこで、本市でも「デジタルマーケティング」の手法について、学ぶ場を作れないかと思い、依頼させていただきました。
ありがとうございます!
それでは当日の研修の内容を見ていきましょう!
4. デジタルマーケティング研修の内容とは?
- 前半:デジタルでの情報発信の現況とデジタルマーケティングで必要なこと
- 後半:実践ワークショップ 市公式ホームページのタイトルを改善してみよう
という前半・後半にわけておこないました。それでは、前半からいきましょう。
世の中を取り巻くデジタルでの情報発信の現況
まずは、世の中の情報発信において、どれだけデジタルが普及しているのか?感覚的にはみなさんもデジタルは活用しなくちゃ…と思っていると思うのですが、改めて聞いてみます。
次の媒体で2023年の広告費の内、一番多いのはどれでしょうか?
- 1、新聞
- 2、雑誌
- 3、ラジオ
- 4、テレビ
- 5、インターネット(デジタル)
さぁどうでしょう?ちょっと考えてみてください。
はい、決まりました?会場のみなさんに聞いてみると、4テレビと5インターネットで大体半々くらいに手があがりました。そうですよね、恐らくどちらかです。それでは、次のグラフを見てみてください。
はい、実は2020年にはもうインターネットの広告費がテレビを追い越しているんですね。その差はここ近年でも開き傾向にあります。4インターネットと答えた方も、みなさんの思っている以上にインターネットにおける広告費は増えていると思われたのではないでしょうか?
そうなんです。広告費に顕著に表れていますが、多くの人がデジタルデバイス、もっというとスマートフォンを軸に情報取得をしています。
ちょっと日常を考えてもそうですよね。テレビを見ながら、何かしらスマホで調べたりチェックしたりなんていう行動も無意識にしているんじゃないでしょうか?
こういったことを考えると、情報発信において「デジタル使った方がいいよね」ではなく「デジタルは使わなければならない不可欠なものに変わっていっています。
5. デジタルで情報発信をする時に大切なことは?
そういった環境の中で、自分も含め市民のことを改めて考えてみると非常に多くの情報に接しています。
XやInstagramなどでは、いいね!している多数のアカウントから投稿が流れてきますし、ニュースもアプリで通知されます。Googleで検索していれば、関連する多くの記事に出会うことが出来ます。
良いことの反面、この多くの情報群の中から目と手を止めて選んでもらわなければ自分たちのしている情報にたどり着いてもらうことはできません。
「伝わる情報発信」とはよく言われますが、もっと噛み砕いてみると
- ・そもそも市民が接している多くの情報の中から見つけてもらわなければならない
- ・見つけてもらえたら、わかりやすく読みたくなる内容にして読んでもらわなければならない
- ・読んでわからなかった、ではなくて読んだ後にわかった、よかったなどプラスの状態にしなければないない
という段階があります。
この3つを達成するたった一つのことは、「市民目線になる」この一点につきます。
多くの情報の中で目につくためには、どういう言葉や画像を使うといいのか?
どういう説明の仕方をするとわかりやすいのか?
どのポイントを強調すると、読んだあとにわかった、よかったと思ってもらえるのか?
このことを、情報発信をする前に考えなくてはいけません。
みなさんもぜひ日常を思い返してみてほしいのですが、スマートフォンに出てくる記事など全てをクリックしてますか?なんとなく、無意識に選んでいるんですよね。その「なんとなく選ぶ」を意図的に設計していくのが「マーケティング的」な考え方です。
6. 市民目線でワークショップ・デジタルマーケティングの考えを取り入れてホームページを改善しましょう
今回のワークショップでは、次の3つのページタイトルの改善を考えていただきました。
- ワーク1:妊産婦健康診査を無料化します
- ワーク2:インターネットで公共施設の予約ができます
- ワーク3:高千穂牧場
どのページタイトルも、今のところ、すごくわかりやすいタイトルだとも思います。ただ、もっと市民の方に親切にできるはず。ということで次のステップでグループで考えていただきました。
- ステップ1:このページは、誰がどんなときに見ると良いページか?
- ステップ2:今、Googleで実際に検索されているキーワードは何か?
- ステップ3:市民が検索するとき、どんな言葉で検索しそうか?
- ステップ4:タイトルを考えよう!
具体的にどのようなステップで検討したのか「妊産婦健康診査を無料化します」のページを例に是非皆さんも考えてみてください。
ステップ1|このページは、誰がどんなときに見ると良いページか?
「妊産婦健康診査を無料化します」のページは誰がどんなとき見るといいページでしょうか?都城市でのワークショップではこんな意見が出てきました!
誰が
妊娠した方、産後の方、妊娠している方の家族
どんなときに
何か補助や支援がないか探しているとき、健康診断を考えているとき
みなさんとてもいいですね!妊娠した本人だけでなく家族の人にも知ってもらえると確かにいいですよね。
ステップ2|今、Googleで実際に検索されているキーワードは何か?
こちらは、Google Search ConsoleというGoogleが提供している無料ツールを使って調べます。
事前に調べていたのですが、都城市のこのページは
妊婦健診、妊婦健診 助成券、妊娠 検診
などで調べられていました。タイトルにもなっている「妊産婦」という検索はありませんでした。
ステップ3|市民が検索するとき、どんな言葉で検索しそうか?
想像してみましょう。ステップ1で考えてみた、妊娠した方・産後の方・妊娠している方の家族はどういう検索をするでしょう?まずは、自分だったらどうするか?という視点でも良いので、考えてみます。
- 妊婦 支援
- 妊婦 検診
- 妊婦 病院
- 産後 検診
- 産後 支援
上記のような言葉をグループワークではあげていただきました。とてもいいですね。実際にそんな検索がありそうです。一度立ち止まって、少し考えてみるだけでもみなさんこれだけ出てくるんですね。
ステップ4|タイトルを考えよう!
それでは、最後です。ステップ1-3をまとめると、どんなタイトルにするとより目について、クリックされやすいでしょうか?
妊婦・産後の方への支援!健診を無料化をします
こんなアイディアが出てきました。妊産婦というのは正しい言葉ではあるものの、市民からすると使わない言葉。
自分の状態で考えます。妊娠中だったら自分は「妊婦」でしょうし、産後であれば「産後」。その部分を捉えて「妊産婦」という言葉を、妊婦・産後に分解するアイディアです。
「健康診査」も、実際に今検索されているのが「健診」だったので、そちらに揃えてみるという案です。
Before
妊産婦健康診査を無料化します
After
妊婦・産後の方への支援!健診を無料化をします
比較してみてどうでしょうか?よりわかりやすくなったのではないでしょうか?
ページのタイトルは検索結果に大きく出る箇所なので、特に大事な部分です。実際に検索されそうな言葉を入れ込みながら、検索する市民にとって、わかりやすかったり目に止まったりするにはどうしたら良いのか?を最初に考えておくことが大切です。ページを作成した後、最後に改めてページタイトルについては見直してみましょう。
他に、都城市の研修では同じステップで、体育館などの公共施設のネット予約ができるページ
・インターネットで公共施設の予約ができます
というページと、観光・おでかけスポットの紹介ページである
・高千穂牧場
のページタイトルを同じ手順で考えてもらいました。
真岡市公式ホームページ改善事例
実際に変更した栃木県真岡市さまの数字変化付き例はこちら。市民にわかりやすいホームページ作りの施策を紹介。
7. 研修後の感想
受講いただいたみなさまに感想をいただきました!
普段何気なく使うインターネットで、クリックしてしまういいタイトルをいざ自分で考えて作るとなると難しいなと感じ、同時に面白さを感じました。
デジタルマーケティングについて重要性を認識できました。市民目線にたった情報発信を心がけていきたいと思いました。ありがとうございました。
とても分かりやすく、今後生かせそうなことがたくさんありました。グループワークでより理解を深めることができました。
情報発信において「市民目線をもつこと」の重要性について理解が深まりました。実際に公開しているホームページを皆で確認しながら「どうすればもっと検索されるタイトルになるか?」グループワークを通じて考える中で、今まで何気なくつけていたタイトルの重要性やデジタルマーケティングの基本的な部分への理解も深まったと感じています。
8. まとめに
ふるさと納税や移住定住促進の、様々なプロモーション施策を積極的に行なっている都城市。
さらなる情報発信力の獲得に向け、今回の研修を企画いただきましたが、座学+グループワークという形式だったので、実際に手と頭を動かしていただき、より腑に落ちる研修にできたかと思います。
また、多くの職員の方を対象した場合、必ずしも対外的なプロモーションを実施している課だけではないかと思いますが、市のホームページは多くの職員さんが関わるもの。自分の課の取り組みがより市民の方に伝わり、魅力的に思ってもらうということを考えると、やはり情報発信力はどの職員も持つべき「必須スキル」となってくるのではないかと考えています。
自分たちが言いたいことをいうのではなく、市民の、相手のことを考えた情報発信で、ぜひご自身の自治体の魅力を伝えていってください。
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