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少し想像してみてください。例えば、皆さんが家を建てるときに、「お金を出すから、なんとなくカッコイイ家を作ってください」とオーダーするでしょうか?
- 「子どもが成長したら個室を作りたい」
- 「家庭菜園ができる広さの庭が欲しい」
- 「趣味に没頭できるように防音の部屋が欲しい」
多くの人は、こうした将来の生活を具体的に想像し、自分の希望をしっかり伝えて家を建てるはずです。今の課題や理想の暮らしを考えながら事業者と調整を重ねて、初めて理想のマイホームが完成します。
ところが、この話がウェブサイト構築になるとどうでしょうか。「お金を出すから、なんとなくカッコイイサイトを作ってください」という依頼になりがちです。本来であれば、家を建てるときと同じように、「こんな目的を達成したいから、このようなウェブサイトを構築したい」という具体的な話が必要なはずです。それなのに、なぜこうなってしまうのでしょうか?

1.表面的な良し悪しが生み出す「誰にも見られないサイト」
行政でホームページ作成やリニューアルを行う際には、「行政の取り組みを具体的に知ってもらいたい」「観光や移住といった具体的な行動を促したい」など、明確な目的を持って実施されるのが一般的です。
しかし、プロポーザルや打ち合わせの段階で、これらの目的が曖昧になり、「カッコイイ」などの「見た目の良さ」に関する言葉が中心になってしまうことがあります。「見た目の良さ」を評価する言葉は、直感的で誰でも使いやすい便利な表現ではありますが、その曖昧さゆえに、ホームページ制作の場面では危険を伴います。
例えば、デザインの良し悪しばかりに囚われた結果、リニューアル後にサイトへの流入数が大幅に減少し、本来の目的を達成できなくなるケースは少なくありません。最終的には、維持費や管理費がかさむだけで「誰にも見られないサイト」という負の遺産を抱えてしまうのです。
2.ホームページ制作は専門家だけの領域なのか?行政職員ができること!
これらの問題は、ホームページ構築が専門家だけの領域であるという誤解も一因になっていると考えます。
本来、ホームページを活用した情報発信は、目的に応じた行動変容を促すための手段のひとつです。そのためには、事業の目的を達成するための全体戦略に基づき、「誰に」「何を」「どのように伝えるか」を議論し、ホームページの目的と役割を明確にする必要があります。
これらは、予算の確保前に行政内部で十分に検討し、専門家である事業者に正確に伝えることで、初めて「本来の目的」を達成するためのホームページ構築が実現します。
一方で、ホームページ作成が専門家だけの仕事だと誤解してしまうと、事業者に丸投げする形になり、「目的を見失ったホームページ」が生まれる原因となります。
3.ホームページリニューアルで自治体職員が考えるべき3つのこととは?
では、表面的なデザインの良し悪しに囚われることを避け、目的を達成できるホームページを構築するためには、何をすれば良いのでしょうか?ホームページリニューアルで自治体職員が考えるべき3つのことをご紹介します。
1)データで現状を正確に把握する
現在のホームページが抱える現状を正確に把握しましょう。現状を把握するためには、情報取得者の行動をそれぞれのステップに分けると整理しやすくなります。
1)探す・・・発信した情報が「探せる」状態にあるか否か?
2)見つかる・・・発信した情報が埋もれずに「見つけられる」状態にあるか否か
3)情報接触・・・発信した情報に接触し「行動変容」が発生したか
また、それぞれのステップは下記計測ツールで計測することが可能です。まずは、データを活用し、自分たちのウェブサイトがどのような状況にあり、どのような課題を抱えているのか、正確に把握しましょう。
2)目的とターゲットを明確に設定する
ホームページリニューアルを通じて、「誰に」「何を伝え」「どんな行動変容を期待するのか」を明確にしましょう。具体的には以下のような質問を自分たちに問いかけてみてください。
▼誰に:誰に向けて情報を発信するのか?
例) 子育て世代、観光客、高齢者 等
▼何を:このホームページで何を伝えたいのか?
例) 移住希望者を増やす、住民への情報提供を効率化する 等
▼行動変容:このホームページでどんな行動変容を期待するのか?
例) 移住の問い合わせをしてもらう、資料のダウンロードをしてもらう 等
「誰に」「何を伝え」「どんな行動変容を期待するのか」が明確になれば、必要なコンテンツやデザインの方向性が見えてきます。
例えば、「子育て世帯に」「子育て支援の充実を理解してもらい」「申請書をダウンロードしてもらう」ことが目的のサイトであれば、パステルカラーを基調とした柔らかい雰囲気のデザインが適しているかもしれませんよね。「カッコイイ」に集約されていた言葉はこのように紐解いていくことが出来ます。
3)事業者に適切な要件伝達をしよう
仕様書を作成する際、他の自治体の仕様書を参考にすることもあるかと思います。しかし、ホームページの現状や目的に応じて、事業者に求める内容は大きく異なることを意識する必要があります。
まずは、現状の課題や目的、ターゲットをしっかりと明確にしましょう。その上で、ホームページリニューアルの意図が事業者に正確に伝わるよう、仕様書を作成することが重要です。
4.提案資料を評価するために必要な「戦略」の視点
様々な要素が確定して初めて、デザインに代表される「見た目の良さ」を具体化することができます。しかし、一番根幹にある「戦略」が欠如していると、適切なデザインや要素を選ぶことはできません。
冒頭でも述べましたが、行政が「戦略」をしっかり持つことで、事業者から提出される提案資料の良し悪しを比較・検討できるようになります。重要なのは、資料の見た目やホームページの「カッコ良さ」が事業の成功に直結するわけではないという点を、常に念頭に置くことです。

5.自治体ホームページリニューアルの「戦略構築」はsembear合同会社まで
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