
「広報紙もSNSも活用しているのに、住民からの反応がいまいち…」と悩んだ経験はありませんか? これは、筋トレで言うところの“フォームが乱れている”状態に近いかもしれません。
筋肉を鍛えたいなら、ただバーベルを持ち上げるのではなく、どの筋肉に効かせたいかを意識して正しい姿勢をとらないと、なかなか効果が出ませんよね。自治体の情報発信も同様で、正しいフォームをきちんと意識しないと、せっかくの広報活動がうまくいかない可能性が高いのです。
そこで今回のテーマは、自治体情報発信にとって欠かせない基本フォームについてのお話です。早速いってみましょう!
1.情報発信の基本フォームは「住民目線」をもつこと
情報発信の基本フォームは、ずばり「住民目線」をもつこと。自治体の情報発信では、“住民目線”というフォームをしっかり意識して広報を行うことで、情報を届けることができます。「住民目線」をもつことは、言い換えれば、住民がどんなことを考え、どのような言葉や媒体で情報を見つけるかをきちんと考えることです
実際に住民はどんなタイミングで情報を探しているのか、どんな言葉で検索しているのか、どんな媒体を使っているのかを把握するだけで、「意外とSNSで探さない場面が多い」「ホームページこそメインの入り口になっている」など新たな気づきが得られます。筋トレのフォームを見直すように、情報発信の“フォーム”を整えていきましょう。
きっと今まで届かなかった住民にも、しっかり伝わるようになるはずです。
2.「住民目線」をもって考える
2-1.住民の行政情報取得の主役は?
住民目線をもって想像してみましょう。住民が行政の情報を取得したいと思うときはどんな時でしょうか?
例えば住民票を取得したいときや、何かしらの証明書が欲しい時、手続きが必要な時などが考えられます。そんな時にどのように情報取得しますか?
おそらく検索して、ホームページで情報を取得する方が多いはずです。住民の方々はホームページから情報を取得することが多いので、見つけやすく、わかりやすく、住民目線をもって各ページを作っていく必要があります。
「SNSを使って情報を拡散すれば十分」と思うかもしれませんが、実際には、住民が行政手続きを調べるときには検索エンジン経由で自治体ホームページの個別ページに飛ぶケースが圧倒的に多いのです。たとえば「○○ 手続き」「△△ 申し込み」といった形で検索し、そのページだけを読み込んで用件を済ませる人が大半でしょう。
一方でイベントや観光情報のように、わざわざ検索してまで調べない分野では、SNSや広報紙を通じて目に留めてもらうほうが効率的な場合もあります。つまり、住民がどんなシチュエーションで情報を探すかをイメージしながら、それに合った媒体を選ぶことが“住民目線”を磨く第一歩となるのです。
2-2.住民がどんな言葉を検索するかを想像する
もう少しホームページについて考えていきます。ホームページは弊社の調査だとTOPページより個別のページに直接来訪していることが多いです。さらに、検索エンジンからの来訪が7割を超えているという現状があります。つまり、個別のページが、検索エンジンに正しく認識されて、検索結果上で見つけやすくしておく必要がある、ということです。

ここで、検索エンジン上に正しく表示されるためには、住民の方が検索しそうなキーワードを想像し、ページタイトルを作らなければいけません。例えば、下記の真岡市様でのワークショップの例ではページタイトルに「妊産婦」という言葉がもともとは使われていました。
しかし「妊産婦」という言葉は住民の方は検索で情報を探しているときには使いません。検索結果上でのクリック率は低い状況が続いていました。そこで、住民目線をもち、妊産婦という言葉を「妊娠中」や「産後」という言葉に言い換えたページタイトルに改善することで、クリック率の大きな改善を実現しております。

いくら有益な情報を提供していても、住民が欲しい情報を探すときに検索するであろう言葉と、ページに書かれている専門用語がズレていると、辿り着いてもらうのが難しくなります。
行政の視点からは「〇〇事業」「〇〇条例」と名称でまとめてしまいがちですが、実際に調べる人は「育児手当 申請方法」「保育所 空き状況 問い合わせ先」といった具体的なキーワードで検索するかもしれません。
筋トレでも、やり方が分からない人は「スクワット 正しいフォーム」など具体的な単語で検索します。ところが、トレーナー側の専門用語ばかりが先行していると、情報がヒットしなかったり、せっかくヒットしても内容が難しくて理解できない…ということが起こります。
こうした“住民が使う言葉”を意識するだけで、検索結果に表示されやすくなり、住民にとって「ここに知りたい情報がある」と直感的に分かるようになり、情報を届けることができるようになるのです。
3.「住民目線」をもつことは全職員に必要なスキル
XやInstagramといったソーシャルメディアの運用は広報担当の方が中心かもしれませんが、ホームページの更新は各課が分担している自治体が多いのではないでしょうか。
子育て支援、福祉、環境など、それぞれの部署が専門的なページを作成しているケースが多いため、“住民目線”に基づいた表現が行き届かないまま更新されているページが少なくないです。
だからこそ、庁内全体で「住民がどんなキーワードで検索するか」「どんな表現なら分かりやすいか」を意識する必要があります。筋トレでも、仲間同士がフォームチェックをすると改善が早いですよね。
自治体内でも同様に、担当者同士が「ここの文言は専門用語すぎない?」「もっとシンプルな言い方にしよう」とアドバイスし合うことで、サイトや情報の利便性は格段に上がります。
まとめ
自治体の情報発信で大切なのは「住民目線」をもつこと、そして「住民が実際に検索するキーワード」や「住民がわかりやすい表現」を意識しながらページを整備することです。
筋トレで正しいフォームを身につけると、狙った筋肉に効率よく刺激を与えられるように、自治体の情報発信でも“住民目線”のフォームを意識することで、本当に必要としている方々に情報が届きやすくなります。住民目線のページは、利用者にとって「ここなら探していることがすぐに見つかる」と思える頼れる存在になり、自治体全体の信頼度や満足度も高めてくれるでしょう。
ぜひ日々のページ作成や広報活動のなかで、“住民目線”を鍛えていってください!
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