
sembear合同会社では、デジタルマーケティングの現場で“本当に自走できる人材”を育てるため、One on One形式の研修を提供しています。
今回は、実際に研修を受けた電通デジタルの田上さんに、本研修を担当したsembear合同会社 代表の治田がインタビュアーとしてお話を伺いました。一人の受講者の歩みを通して、弊社の研修がどんな価値を届けているのか、ご紹介します。

田上 勝基(たのうえ まさき)さん
電通デジタル
第2アカウントプランニング部門 関西事業部 第1グループ グループマネージャー
<略歴>
2010年より総合広告代理店の営業局にてキャリアをスタート。TV・デジタルを中心としたコミュニケーション、CMやWEB動画、ツール制作など幅広い業務に従事。
2021年4月より電通デジタルに参画し、製薬会社、食品会社等のデジタル広告のプランニング、運用業務に従事。
目次
01. キャリアの転機とデジタル領域への挑戦
02. 知識の壁と新しい環境での適応
03. 成長支援とマネジメントへの視点の変化
04. あとがき
01. キャリアの転機とデジタル領域への挑戦
治田:それでは田上さんの簡単な自己紹介の方から入っていただいてもよろしいでしょうか。
田上:はい、ありがとうございます。私は2010年から社会人というところで、前職では総合系の広告会社に在籍していました。そこで11年ほど在籍して、東京でも3年、関西で8年ほど営業職として勤務をしていました。そこからデジタルを主戦場にしようと、現職の電通デジタルに入社したのが2021年で、もうすぐでまる四年ですね。
治田:ありがとうございます。ちょっと単刀直入にお伺いしたいのですが、前職の総合代理店から「電通デジタル」に転職するに至った経緯を伺わせてください。
田上:まず、先ほど話した通り、前職は総合系の広告代理店で営業をしていました。広告代理店の営業職って「これがクライアントにとって必要なものだ」っていうものを幅広く提案できるんですよね。そういう「幅の広さ」という楽しさは本当にあって、仕事そのものは非常にやりがいを感じていました。
ただ、そんな中でも売り上げのほとんどを占めていたテレビや新聞といういわゆるオフラインメディアからだんだんとデジタルの提案をすることが増えていました。実際に予算もデジタルがメインを占めるようにもなってきてましたし。そんな中広告業界のカンファレンスで話を聞いたりすると欧米ではテレビ広告も今後運用型になる、という話を聞いたりしたんです。
そういう中で、このままで自分の需要はあるんだろうか、もっとデジタルに向き合ったほうがいいんじゃないか、という危機感はすごくありました。
治田:それは本当にリアルな目線ですよね。特にその危機感を強く感じた引き金みたいな出来事って何かありますか?
田上:いろいろありましたけど、あるクライアントのLINEの公式アカウントを提案する機会があって、あの時はデジタル専門のグループ会社と連携して、CRM施策としてLINEを提案していたんです。その時、デジタル専門のグループ会社の、若いメンバーが難しい内容ではありながらもわかりやすくクライアントに説明してて、シンプルにかっこいいな、と思ったんです。自分もこんな風にデジタルのことを説明できるようになりたいな、と。
治田:なるほど、それは確かに印象に残りますよね。ちょっとだけ脱線してしまうんですが、先ほど田上さんがおっしゃっていた「自分の需要」っていう言葉を掘り下げたいんですけれど。
そもそも採用する側、つまり会社側ってある意味で「仕事を供給」する側じゃないですか。もちろん求職者を欲するという意味では「需要」側でもあるんですけど。先ほどの田上さんの「自分の需要」っていうのは「自分の市場価値」っていうところ考えていた、というニュアンスと解釈しても大丈夫ですか?
田上:はい、その解釈で合ってます。
治田:では言い換えると、ある意味で「自分の市場価値」に不安があったというか、そこに焦りがあったという感じだったんでしょうか?
田上:そうですね。難しいところですけど、別に市場価値が下がっているとは思っていなかったと思います。ただ、このままいくと10年後にはどうなっているんだろうか、っていうのは感じていましたね。そういう意味では「焦り」というよりは「危機感」という言葉かなと思います。
もちろん仕事をする中で磨かれる部分もありますし、10年後でも活躍できるような努力をし続けることはできると思うんですけど、じゃあ自分が50歳になったときに、当然スキルの成長や、知識の吸収力は若い人のほうが有利なわけですし。
治田:本当によくわかります。先ほどのLINEを活用したCRM施策に話は引き金としてもよくわかるんですが、田上さん自身がご自身のキャリアについて危機感を含めてすごく考えられてきたんだと思うんですよ。ひょっとすると「自分はこのままでいいのか?っていう疑問なんかも抱えながら、ある意味でキャリアを模索する努力っていうのがあって、その結果として「LINEのCRM施策」という形の引き金につながったんでしょうね。
田上:そうですね。そういう感じだったと思います。そこに至るまでもデジタルの提案をしていた中で「今後こう言うものが求められているんだろうな」という意識はしていましたね。
治田:とてもよく分かります。そしてそういった背景があって「電通デジタル」という会社に転職されたポイントってなんだったんでしょうか?
田上:そうですね。まずはやっぱり11年広告代理店での営業経験を積んでいたので、それを活かしたいな、っていう思いはありました。もっと言うとテレビの経験なんかもあるのでそうなると割と絞られては来るわけです。かつクリエイティブディレクションの経験も活かせるような環境でもあるところ。それらを含めて「これがクライアントに必要だ」っていうのものを自由に提案できる広いケイパビリティがある会社、というところで考えていました。
そういうことを考えるとやっぱり電通デジタルはぴったりの会社だったな、と思います。
治田:今回のインタビューのポイントでもあると思うんですが「クライアントに対して必要なことをほぼ何でも提案できる」ってやっぱりこの仕事の醍醐味というか、真骨頂だと思うんですよね。
まれに「広告代理店不要論」みたいな記事や言説を見ることもあるんですが、田上さんがおっしゃったような「なんでも組み合わせて提案できる自由度」の価値って実はすごいじゃないですか。この「なんでも組み合わせて提案できる幅の広さと深さ」ってほかの会社が真似できない広告代理店だけの強みだと思うんですよね。そういう感覚ってお持ちだったりします?
田上:そうですね。昔あるクライアントから広告集客の相談をいただいたのですが、ちゃんと話してみると実は集客自体が課題ではなく、その会社さんの人事の仕組みに課題があるんじゃないか、という話になって、とあるタレントマネジメントシステム含めた人事のシステム提案なんかもやったことがありますし。本当にクライアントの話を聞きながら、何が必要かを考えて、そして提案するっていうのがこの仕事の醍醐味ですよね。
治田:自分も最近生成AIをいろんなところで使い倒しているんですが、デジタル広告業界に限って言えばAIの活用や機械学習による自動最適化、もっと根本からいえば広告アカウントの開設なんてクライアント企業がクレジットカードを持っていたらものの数分でできてしまうっていう意味で、かなり省力化というか「省人間化」が進んでる業界だと思うんです。
でもその中で「広告代理店」っていう業種はクライアントの漠然とした課題を分解し、論点を整理し、そして躯体的な提案まで落とし込むプロセスと、それに伴うクライアントの意思決定の支援という領域もあるわけじゃないですか。
そう考えると「広告代理店」って実はとても「仕事の中に人間が存在する価値」が大きい環境だと思うんですよね。
田上:それはそうですね。やっぱりクライアントに対する提案って「管理画面」の中だけに答えがあるわけではないですし。
