
以前「自治体CMSで重視したい三つのポイント」という記事を書いたのですが、そこから少し時間が経ちました(もちろん当時の内容も間違ってはいません!)。
弊社(sembear合同会社)では、多くの自治体様の「公式ホームページリニューアル」において、仕様書の策定からアドバイザリー、コンサルティングまで幅広く支援させていただいています。
そこで今回は、これまでに蓄積されたノウハウと最新のデジマケトレンドを踏まえ、改めて「今の時代に求められる自治体CMSの選び方」を10のポイントに絞って考察してみたいと思います。
目次
自治体CMSの審査基準:超重要項目はこの三つ!
1. OGPがページごとに設定できること
何はなくともまずはこれです。意外かもしれませんが、ページごとにOGPを柔軟に設定できないCMSは未だに少なくありません。
OGPとは、そのページがX(旧Twitter)やFacebookでシェアされた際に表示される「サムネイル画像」や「説明文」を制御する機能です。市の公式アカウントでホームページのURLを投稿したのに、画像が出ずにテキストだけの寂しい投稿になっているのを見たことはありませんか?
ここを正しく設定するだけで、SNS上での表示回数(インプレッション)やエンゲージメント(いいね・リポストなど)は数倍変わることも珍しくありません。「市民に伝わる広報」を実現するための絶対条件です。
2. 「完全な」レスポンシブデザインであること
「いまさらそんなCMSあるの?」と思われるかもしれませんが、実は存在します。
スマホでアクセスした際にスマホ用の画面が出るのは当然として、2026年現在でも「PCとスマホでURLが異なる(/sp/などがつく)」仕様のCMSが生き残っています。 これは検索エンジン(Google)がスマホサイトを評価の主軸とする「モバイルファーストインデックス(MFI)」の時代において、SEO的に非常に不利です。また、PCからアクセスしているのにスマホ用ページが表示されてしまうといったトラブルの元にもなります。
「PCとスマホが同一URLでデザインだけ切り替わる」真のレスポンシブデザインであることが必須です。
3. GTM(Googleタグマネージャー)が仕様通り実装できる
次に求めたいのがGTMが「仕様通りに」実装できる、ということです。
稀にCMSの独自機能としてアクセス解析タグを埋め込むようなものがありますが、そうではなく「GTMが標準的な仕様通りに実装できること」を要件にしてください。
なぜGTMが必要なのかを語ると長くなりますが、端的に言えば「ページ表示の高速化」と、将来的にデジタル広告や高度な分析(GA4のイベント設定など)を実施する際の「運用コストの劇的な削減」のためです。今後の拡張性を考えると外せません。
自治体CMSの審査基準:まあまあ重要なこと三つ!
4. カテゴリ分類が「役所の組織図」になっていないこと
稀に「組織・課」をベースにページを分類するCMSや仕様がありますが、これはNGです。住民は「この行政サービスをどの課が担当しているか」なんて知りません。カテゴリ分類は徹底して「住民目線(ライフイベントや目的別)」で構築できるCMSを選びましょう。
これが「超重要」ではなく「まあまあ重要」な理由をお話しします。
弊社の支援する自治体様のデータでは、サイト来訪者の約8割はGoogleやYahoo!の検索エンジンから目的のページへ「直接」訪問します。トップページからカテゴリを辿って探す人は、実は全体の1割程度に過ぎません(残りはサイト内検索など)。
とはいえ、カテゴリ自体は絶対に必要ですし、それが住民にとって使いやすいものであるべきなのは言うまでもありません。
5. Google Search Consoleからsitemap.xmlを送信できること
これに対応していないCMSは見たことがありませんが、万が一存在したら危険なので明記しておきます。
自治体ホームページのリニューアルでCMSを変えると、大半のページのURLが変わってしまいます。
この時、検索エンジンからのアクセスで「リンク切れ(404エラー)」が大量発生する期間を最小限に抑えるため、最新のサイト構造をGoogleに伝える「sitemap.xml」の自動生成・送信機能は極めて重要です。
6. 浮遊ページ・浮遊ファイルの一括検索機能があること
「浮遊ページ・浮遊ファイル」とは私の造語で、「サイト内のどこからもリンクが張られていない、孤立したページやPDF」のことです。
自治体サイトあるあるなのですが、古いページを削除してもサーバーにPDFだけが残り続け、検索エンジンにはその古いPDF(過去の補助金要項など)が引っかかってしまう現象がよく起きます。
これは市民に間違った情報を与える不利益につながるため、こうした不要なファイルを見つけ出して一掃できる管理機能があると非常に助かります。
自治体CMSの審査基準:逆に「やってはいけないこと」三つ!
7. 思考停止に「ページビュー」を追いかける
「サイトの回遊性が高い(=PVが多い)ことは良いことだ」という一般論を全否定するわけではありません。しかし、自治体サイトの本質は「課題解決」です。
「〇〇市 ごみ分別」と検索した市民には、目的のページが一発で出て、すぐに問題が解決(=すぐ離脱)した方が良いに決まっています。逆説的に言えば、PVが多いのは「サイト内で迷子になっているだけ」の可能性があります。
弊社が情報発信の改善を支援する際、PVを目標指標(KPI)にすることはほぼありません。代わりに、Google Search Consoleの「クリック率(CTR)」などを重視します。
8. 「トップページから原則3クリック以内、最大でも5クリック」を思考停止に守ること
これは私のnoteにも先日書きましたが、自治体公式ホームページの仕様書にたびたび登場する「目的とするコンテンツに、原則3クリック、最大5クリック程度でたどり着く階層構造とすること」という一文は、現代ではおおむね否定されている都市伝説的なものになります。
原則論として、目的とするコンテンツまでのクリック回数が少ないことそのものは間違いではありません。ただそれが「3クリック」でなければ使い勝手が下がる、というのは過去に何回もテストされ、現在では否定されています。
むしろ、あまりに階層を浅くすることで、1ページに存在する「リンク」の数が膨大になり、目的とするコンテンツをそもそも探せない、というリスクがある以上、この仕様は気にするべきではありません。
9. 「ドア的」なトップページをつくる
今はあまり見かけませんが、10年ほど前の自治体サイトでは、トップページに「住民向け」「観光客向け」「事業者向け」といった巨大なボタン(ドア)だけを置くデザインが流行しました。
現在では、これはアクセスの大半を占める「住民」の利便性を著しく下げるだけでなく、検索エンジンやAIへの情報伝達(クローラビリティ)にも悪影響があることが分かっています。
こちらについても現在リニューアルを検討しているのであれば仕様書から外しておくべきでしょう。
最後に:本当に大事なこと
と、過去のホームページリニューアルアドバイザリーや審査の経験を基に書いてみました。
ただ、身もふたもないことを言うと、そもそも「住民に伝わる」情報発信においてCMSの選定は重要ではあるものの、最低限上記を満たしていれば正直何とかなります。
10. 最大の問題は「ページを作る職員さんのスキル」

こちらの事例を見ていただければお分かりいただけるかと思いますが、CMSを変えていなくても職員さんの「ページ制作能力」をあげることでGoogle上でのクリック率は3倍から、高いものでは10倍にも改善します。
自治体公式ホームページは、本来住民の方が「困った」時に解決するものでもあり、その上では「ちゃんと見つかっているか」が何より大事です。
現在市の公式ホームページリニューアルを検討されている方、ぜひこちらの記事を参考にしてください。また、もしお困りでしたらぜひ気軽にご相談ください!





