
スマートフォンなどのデジタルデバイスの普及により“デジタルの重要性やSNSを使っている人が多い”ことはほとんどの方が認識されていると思います。
しかし…
「本当にSNSを使っている人は多いの?」
「使っている人が多いSNSは?」
「●●について周知したい時は、どのSNSを使えばいいの?」
このような疑問を持つ自治体職員の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」から、SNSの利用状況を紐解きながら自治体職員(…になったつもり)の立場で考えてみました。
本記事の目次
総務省「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」とは?
スマートフォンの普及、ソーシャルメディアの利用拡大といったメディアの利用環境変化を踏まえ、国民の情報通信メディアの利用時間と利用時間帯、利用目的及び信頼度等について調査するため、平成24年に始められた。
参考:総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(調査目的より抜粋)
つまり、国民の皆さ~ん
「スマートフォンやSNS、どのくらい?どうやって使っているの?」
といったことを総務省が主催して行う調査です。
この調査の項目はいろいろあるのですが、今回はSNSに絞って結果を見てみます。
下記の表は、主要なSNSの利用について、世代別にまとめたものです。
世代別に利用率の差が大きいSNSもありますね。

参考:総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000976455.pdf
全世代におけるSNS利用率をもう少し見やすくしてみるとこのようになります。

やっぱりLINEとYouTubeが圧倒的に高いですが、Facebookが最下位とは思いませんでした。
この結果からFacebookやTikTokは効果が低いの?と考える方もいるかもしれません。
はたして本当に効果が低いのでしょうか。もう少し細かく見てみることにします。
世代別利用率から見る各SNS別の特長
全世代で利用率の低かったSNSは、効果が低いのでしょうか?
利用者の年代も考慮しながら、具体的にSNS別に特長を紐解いてみます。
①LINE(全世代利用率95%)

・ほぼ全世代が利用(10~60代まで利用率85%以上)
・20代については99.5%の利用率
広く遍く情報を届けたい全世代向けの情報発信に適していると言える。
例)緊急防災情報(災害避難指示)・夜間休日診療案内・迷子犬、迷子猫情報など
自治体LINE公式アカウントを活用し、住民にプッシュ通知でリアルタイムに情報を届けることが可能です。
➁YouTube(全世代利用率88%)

・10代~50代まで85%以上の利用率
・60代については66%と若干下がるが、60代が利用するSNSの中では上位
YouTubeもLINE同様、広く遍く情報を届けたい全世代向けの情報発信に適していると言える。
例)シティプロモーション・男女平等社会・ごみ減量・インバウンド招致など
YouTubeチャンネルを活用する場合、長期的な活用が一般的です。何を伝えたいかを明確にした動画作成が活用のポイントとなります。また最近利用者が多いとされている“ショート動画”を入り口としてチャンネル内の動画に繋げていく方法もYouTube独自の情報発信の形と言えます。
③Instagram(全世代利用率56%)

・10代、20代については、70%以上の利用率
・30~50代についても、50%以上の利用率
若年層(主に10~20代)を中心に、10~50代向けの情報に適していると言える。
例)観光イベント情報・選挙啓蒙関連・結婚子育て関連など
Instagramの最大の特徴は“映え”。ビジュアルを強みとして、リールやハッシュタグなども活用し、拡散的に情報を届けることができます。
④X(全世代利用率49%)

・20代については、80%以上の利用率
・次いで10代・30代が、60%以上の利用率
若年層(20代をボリュームゾーンとした10~30代)向けの情報に適していると言える。
例)求人情報・結婚子育て関連・移住、定住情報など
Xについては、速報性が高く拡散力が強いSNSです。リアルタイムなイベント情報や〆切までのカウントダウンなどに活用するのもオススメです。
⑤TikTok(全世代利用率33%)

・10代で70%と突出した利用率
・20代では約50%、30代以上は30%を下回り年齢が上がるごとに利用率が低くなる
若年層(主に10代)向けの情報に適していると言える。
例)子供向けイベント(夏まつり、体験学習)・中高生向け交換留学情報・選挙啓蒙関連など
TikTokはエンタメ性のあるショート動画が特徴。独自のアルゴリズムにより、フォロワー数が少なくても拡散可能性が期待されているSNSです。
⑥Facebook(全世代利用率31%)

・全世代で50%以下の利用率
・30代が44%と最も高い利用率、40~50代では30%以上となる
利用率としては少々低いが、30~50代層をターゲットとする情報に活用できると言える。
例)健康福祉関連(健康診断、介護保険)・地域活動(自治体主催セミナー)・公式発表など
Facebookは、公式アカウントからの発信で信頼感を持ってもらいやすいSNSです。また他のSNSでは難しい長文投稿が可能なことも特徴のひとつで、近況報告といった日常の投稿ではなく、仕事関連のコミュニケーションで使われることが多いと言われています。
複合的な観点で選ぶSNS ~スパイスを加えてみる~
これまでは世代別のSNS利用状況調査から、各SNSの特長について考えてみました。
先にお伝えの通り、この調査では他にもさまざまな項目について調査がされています。
ここで各SNSの特長にスパイスを加えてみたいと思います。
今回のスパイスは「各SNSの男女利用比率」です!

参考:総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000976455.pdf
一例として、Instagram・Xの男女利用比率から考えてみたいと思います。
それぞれの男女利用比率は下記の通り。
・Instagram (男性44% 女性56%)
・X (男性52% 女性48%)
例えば、“結婚・子育て情報”についての発信をするとします。
男女利用比率のデータから、Instagramのほうが女性比率が高く、Xのほうが男性比率が高いことが分かりました。
そこで、同じ“結婚・子育て情報”であっても、下記のようにSNSによって伝え方やビジュアルを変えていくことも効果最大化の一つの手段かもしれません。
Instagram:女性向けに柔らかい雰囲気で伝える
X:男性向けにデータを活用した投稿にする
まとめ:自治体のSNS選びは、SNSの特性も加味しながら目的に応じて行うことが重要!
今回の調査結果を簡単にまとめると下記のような形になります。
全世代向け:LINE、YouTube
若年層向け:Instagram、X、TikTok
30~50代向け:Facebook

参考:総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000976455.pdf
調査結果からも分かるように、それぞれのSNSには特長があります。
気をつけなければいけないこととして、例えば、LINEは一見万能に見えるかもしれませんが、実際には、“友だち登録“が必要で基本的には「友だち」にしか情報は届きません。
YouTubeも“チャンネル登録・検索・再生“といったアクションが必要ですし、特にユーザーが「見ていたくなるもの」でないと最後まで視聴してもらうハードルも高いでしょう。
「拡散性」であれば、LINEよりもXやInstagramのほうが期待ができますし、利用者と媒体の特性、そしてどのような目的で情報発信を行いたいのかによって媒体を選ぶことが必要となります。
つまり自治体のSNS選びは、各SNSの特性も加味しながら目的に応じて行うことが重要!ということですね。
さて、いかがでしたでしょうか?
総務省「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」から、自治体におけるSNSの選び方について考えてみました。
今回の内容は、上記の調査結果のみを切り口とした考え方の一例であり、正解とは限りません。
切り口を変えればSNSの選択が変わることもありますし、組み合わせて使用することもあると思います。
またSNSアカウントを使用した発信なのか、広告を出すのかによっても異なります。
目的に合わせてさまざまな切り口で検討し、是非SNSを効果的に活用してみてください。
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