地方自治体の公式ホームページ制作・運用におけるFAQ

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地方自治体の公式ホームページ制作・運用におけるFAQ

このページでは今まで弊社が携わった「自治体公式ホームページ改善・リニューアル」でいただいた様々な質問をQ&A形式でお答えしています。

戦略・指標設計編

Q:住民に伝わる情報発信を実現するにはどのCMSを選べばよいですか?

よっぽど極端に「悪い」CMSでなければ、原則としてどのCMSでも大きな差異はありません。

しかしながら「悪い」CMSを選定してしまうと情報発信の精度と効果が極端に低下するため油断は禁物です。

総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン」に則った技術仕様のCMSであることは前提として、OGP(ソーシャルメディア)への対応や、GTM(計測環境)の実装、そしてレスポンシブデザイン(パソコン版とスマホ版でURLが変わらない)技術仕様であることを仕様書に明記しておきましょう。最低限そこが実装されいれば、職員の皆さんの「ページの書き方」で伝わりやすさが決まります。

Q:自治体公式ホームページの成果を計る指標は何の数字を見ておけばいいのでしょうか?

皆さんの自治体の状況によって異なりますが「PV(ページビュー)」を絶対的な指標にすることはやめるべきです。

自治体公式ホームページは「困ったときに情報を探している」時によく使われます。その状況でPVが大きいことは「使い勝手が悪く迷子になっている」状況である可能性が高く、PVを「ホームページの成功指標」と定義する合理的な理由は一切ありません。

弊社は指標の設計についてコンサルティングで自治体様の現状を把握したうえで設計しますが、概ね「Google Search Console上でのCTR(クリック率)」は追跡するべき指標に入ることが多いといえます。

Q:自治体HPのデータ分析は主に何をすればいいですか?

Google Analyticsでの分析も必要ですが、まず最初に見るべきは「Google Search Console」です。

自治体公式ホームページは「モノを売る」ものではなく、あくまで行政情報を住民に伝えることがメインになります。したがって「ちゃんと見つかっているか」、つまりホームページ訪問の前のデータ分析が必ず必要になります。

そのデータを基にGoogle Analyticsでのセッションや滞在時間などを中心に改善分析をすると考えておきましょう。ページビュー(サイトの回遊性)については「迷子にさせているだけ」というリスクも踏まえ、過大評価をすることはやめておきましょう。

Q:議会や市民からの問い合わせでも「見つけづらい」と言われます。どうしたらいいですか?

見つけづらい最大の原因は「検索結果」に適切に表示されていないことがほとんどです。

検索エンジンは日々進化していますが、住民の方が日々使う言葉を意識したページでなければ「表示」されていることにすら気づかれません。まずデータを基にクリックされていないページを修正していきましょう。


情報設計・UX編

Q:自治体公式ホームページのカテゴリ分類はどうすればいいですか?

カテゴリ分類は常に「市民からの目線」で考えてください

例えば子育て支援の事業について「保健福祉課」と「学校教育課」のどちらが担当をしているのかを理解している住民は皆無です。したがって「部門で分ける」ことはほぼ意味がありません。

かつ、弊社の全クライアント自治体の平均では、トップページから「カテゴリ」を下ってページを見つける住民は全体の2割にも到達しません。8割の住民はGoogleやヤフージャパンなどの検索エンジンから直接目的のページを探しますし、トップページから来訪した住民の多くは「サイト内検索」でページを探します。

現状のカテゴリに大きな問題がない場合、変更の必要性の可否も含めて検討をするべきでしょう。

Q:「目的とするコンテンツに、原則3クリック、最大5クリック程度でたどり着く階層構造とすること」はどこまで守るべきでしょうか?

「目的とするコンテンツまで3クリック以内」は自治体公式ホームページにおいては迷信です。無視しましょう。

「目的のページまで3クリック以内でアクセスできるようにするべき」という論理は、Web Standards Project創設者のJeffrey Zeldman(ジェフリー・ゼルドマン)氏が2001年の著書『Taking Your Talent to the Web』の「Hierarchy and the So-Called Three Click Rule(階層といわゆる3クリックルールと呼ばれるもの)」という章で言及したことで広まったとされています。

ただしZeldman氏自身、章タイトルで”So-Called(いわゆる)”と表現しており、絶対のルールとは位置付けていません。そもそもこの主張は何の研究データにも基づいておらず、2003年のUIE社による検証実験では、3クリックを超えてもユーザーの離脱や満足度低下は確認されませんでした。

その上で、膨大な情報量を保有する自治体公式ホームページでこの仕様を実装しようとすると「1ページ」に表示する情報量が爆発し、使い勝手は極めて悪化します。

むしろトップページに視認性の高い「サイト内検索」を設置することで、目的のページを検索しやすくするほうが「3クリック」を順守するよりも使い勝手の改善効果が高いですし、何より自治体公式ホームページにおいて「目的のページまで3クリック以内に到達するべき」と記載されたガイドラインも公式資料も一切存在しません。

Q:自治体公式ホームページがダサいといわれます。何をしたらいいですか?

自治体公式ホームページが「ダサい」と言われる理由は、単にデザインのトレンドが古いからだけではありません。おおむね以下の三つの「提供者側の都合」が原因です。

  1. トップページに情報を詰め込みすぎ、乱雑な印象を与えている

「どの課の事業も平等に目立たせたい」という庁内の力関係を優先した結果、原色のバナーが所狭しと並ぶ「幕の内弁当」のような状態です。すべてを目立たせることは、結果的に「誰も何も見つけられない」状態を作ります。

  1. PC時代の流れをくむレイアウトで、スマホを踏まえた設計になっていない

現在、住民がホームページを見るデバイスの主流はスマートフォンです。それにも関わらず、PCの大きな画面を前提とした細かい文字や、スマホでは押しにくい小さなボタンが放置されているため、直感的に「古くさい(ダサい)」と感じさせてしまいます。

  1. 「使い勝手」を無視した、表面的な「今っぽさ」の追求

ダサさを解消しようとして一番やってはいけないのがこれです。「今風のカッコいいサイトにしたい」とトップページに巨大な動画などを配置した結果、ページの読み込みに十数秒もかかり、知りたい情報を探している住民に多大なストレスを与えるケースが頻発しています。

何をしたらいいか?

「ダサい」を解決するために、流行りの見栄えだけを追い求めるのは危険です。まずは庁内の都合を捨て、「住民が迷わずに最短で情報にたどり着けるか」という使い勝手(UX)の改善に全振りしてください。余計な装飾を削ぎ落とし、住民目線で情報を整理することこそが、結果的に最も洗練された「ダサくない」ホームページを実現する唯一の道です。

Q:自治体ホームページのトレンドはありますか?

トレンドはありますが、それ以前に現状のホームページ分析から発見された課題解決を優先しましょう。

あります。今から10年ほど前は自治体の公式ホームページのトップに「ドア的」なページを制作し、「住民向け」「観光向け」「事業者向け」などのボタンだけを設置する「トレンド」がありました。

現在では上記のようなページはアクセスの大半を占める住民の利便性を下げるだけでなく、検索エンジンやAIにおける視認性に悪影響があることが判明しており、実装する自治体は減少しています。

つまり「トレンドを追いかける」ことが住民の皆さんにとって有益であるとは限りません。

また「サイト内検索」機能や「チャットボット」など住民向けの情報提供サービスを拡充しているのが昨今のトレンドです。同時にそれらはページ読み込み速度の低下やページ更新との連携に時差があるなど、また別の課題が発生しています。

そういう意味でも「トレンドを追いかける」よりも、まず定量的な「現状把握」の上で「課題抽出」が必要です。


外部連携・AI活用編

Q:LINEやXなどとうまく連携したいと考えていますがどういう仕組みだといいでしょうか?

まずOGP(Open Graph Protocol)タグを必ず実装してください。

LINEやX、facebookなどのソーシャルメディアとホームページの連携において、OGPタグの有り無しは情報の拡散性で最大10倍、エンゲージメント率(いいね数やクリック数の合計)で4倍以上の差が出ています(弊社クライアント自治体での平均値)。

それらを踏まえてAPI接続を用いた自動投稿機能やホームページの計測も含めたデータ分析などの実装をすることで、市民に伝わる情報発信が実現します。

Q:AIの活用についてどう思いますか?

AIを意識したページ作成(AEO)は今後必要になるでしょう。自治体公式ホームページは行政情報の一次情報源として、AIが住民の質問に回答する際の引用元になる責任があります。

AEO(Answer Engine Optimization:回答エンジン最適化)とは、ChatGPTやGoogle AI OverviewなどのAIがユーザーの質問に回答する際、自社コンテンツが引用元として選ばれやすくするための最適化手法です。

今後AIを活用して行政情報・支援情報を収集する傾向は高まると予想されますし、その際に自治体の公式ホームページから正しい一次情報を引用してもらうページ制作が住民の方に向けた情報発信として重要になると想定されます。

また市区町村職員がページを作るときにAIを活用するケースも今後拡大すると思われます。

AIの誤出力(ハルシネーション)を判断する知識、住民の方が「理解しやすい言葉になっているか」という文章編集能力は今以上に必要になると考えておきましょう。


リニューアル・プロポーザル編

Q:自治体公式ホームページのリニューアルにはどれくらい時間(期間)をかけるべきですか?

リニューアルの規模感によっても変わりますが、準備期間も含めて概ね一年半から2年程度はかけたほうが良いでしょう。

まず段取りとしてプロポーザル前の「現状把握」「課題抽出」「方針決定」で最低でも半年、もしくは1年程度を見込んでおいてください。その「現状把握」「課題抽出」「方針決定」を基に「公式ホームページリニューアル」のプロポーザル仕様書を策定します。

仕様書が公開されて事業者の選定、契約などがあり、実際の公式ホームページのリニューアルが完結するまで、こちらもおおよそ1年程度を見ておく必要があります。

Q:リニューアルの仕様書作りが難しいです。何かコツや気を付けること、絶対入れるべきことはありますか?

まず大前提として、「自らの自治体の現状把握と課題抽出」を行わずに、他自治体の仕様書をコピペすることだけは絶対に避けてください。

システム要件として「OGP対応」「GTM実装」「レスポンシブデザイン」を明記するのは必須ですが、最も重要なのは評価の配点です。

「デザインの綺麗さ」や「機能の多さ」ではなく、「住民が迷わないための情報設計(IA)の根拠」や、「公開後に職員が自走するための研修・伴走支援」に対する配点を高く設定してください。「作って終わり」の業者を排除する仕様にすることが、成功の最大のコツです。

Q:実際にプロポーザルでCMS業者を選ぶ際に気を付けることはありますか?

プレゼンの場で「うちのCMSを入れればPV(ページビュー)が上がります!」と声高にアピールする業者は、自治体サイトの役割を全く理解していないと判断してよいでしょう。

前述の通り、自治体サイトにおいて無駄なPV増は「住民を迷子にさせているだけ」の悪手です。 また、「私たちが全部やります(丸投げしてください)」という業者も危険です。

サイトを日々更新していくのは現場の職員の皆様です。ツールを納品するだけでなく、現場の「自走」を見据えて、ロジックに基づいた運用支援までを提供できるパートナーを選ぶことを強くお勧めします。

Q:自治体公式ホームページリニューアルについてのコンサルの相談はできますか?

はい、もちろん可能です。戦略策定や仕様書の作成支援から、リニューアル後のデータ分析・運用改善まで、実務と理論を高次元で融合させた伴走支援を行っています。

弊社はあらゆるCMS事業会社様とお付き合いができる「中立」の会社です。ある特定のCMSをお勧めすることなく、自治体の皆さんが今直面している課題について「自治体側を支援」する形でCMS企業各社とお付き合いしています。

技術領域の不安、育成領域の課題など、弊社の専門性をもって支援をさせていただきます。

まずは現状の課題をそのままご相談ください。