1st party dataとは?自社データ活用が必要な理由

自社データを活用しよう

1st party dataが大切な理由


1st party dataとは?

まず最初に「1st party data」とは何かから始めましょう。一言で完結に言えば「自社が保有データ」ということになりますが、もちろんそれだけで説明が終わるほど簡単ではありません。まずは前回説明したデータの三要素、という観点から考えてみましょう。以前の記事にもある通り、データとはIDと属性と行動の三要素に分類できます。1st party dataにおけるIDと属性と行動を考えてみると・・・

ID:名前、電話番号、メールアドレス、会員ID

属性:生年月日、性別、居住エリア、会員ランク

行動:サイト閲覧、購買、店舗来訪

という分類になります。ここで少し考えてほしいのが、属性に書いた「会員ランク」と言われるものです。例えば飛行機のマイレージ会員などを連想するとわかりやすいのですが、何回も飛行機に乗る(つまり「行動」)の結果会員のランクがシルバーからゴールドに上がった(つまり「属性」)ということをイメージしてみてください。

つまり「属性」と「行動」はすべてではないですがある程度の依存関係があることがあります。そのためには「行動」が「ID」に紐づいていなければわかりません。会員IDが「abcd1234」という人が10回飛行機に乗った、という行動の記録の結果が「属性」になる、ということですね。

つまり、1st party dataを活用する際には、まず行動を捕捉するための「ID」を明確にしなければならないということになります。

IDを掘り下げる

IDがなければ行動の記録も属性の付与もできません。ですのでデータを活用する際に最初に考えるべきは「自社はどのようなIDを取得できているのか」ということです。もう少し正確に言うと「どのようなIDをどこで取得できるのか」ということになります。

上にも書いた通りIDには様々なバリエーションがあります。それではそれぞれのIDについて、どこで取得できるのかを考えてみましょう。

ID種別データの取得場所
名前お問い合わせフォーム、名刺交換、会員登録
電話番号お問い合わせフォーム、名刺交換、会員登録
メールアドレスお問い合わせフォーム、名刺交換、会員登録、メルマガ登録
会員ID会員登録
IDとその取得場所

以上のようにIDを取得する際には基本的には「何かしらの申し込み」が必要なことがわかります。しかしながら実は「申し込みがなくても取得できるID」がこの世には存在します。それが「1st party cookie」と言われているものです。

1st party cookieとはアクセス解析ツールなどで活用されている「自社サイト内ドメインでのみ利用可能なCookie」だとここでは定義します。自社サイトに来訪してくれたユーザーに対しては、アクセス解析ツールのタグや、またはサイトが設置されているサーバそのものが、そのユーザーのブラウザを識別するIDとしてCookieを発行します。

例えば弊社サイトにおいてもGoogle Analyticsを使っていますが、どこから来訪があったのか、そしてどんなページを見ているのか、というサイト上の行動は、このCookieと言われているIDに紐づけられ、計測がされているのです。

IDを整理してみよう

ではCookieを含めてIDを整理してみましょう。以下の表をご覧ください。

ID種別データの取得場所
名前お問い合わせフォーム、名刺交換、会員登録
電話番号お問い合わせフォーム、名刺交換、会員登録
メールアドレスお問い合わせフォーム、名刺交換、会員登録、メルマガ登録
会員ID会員登録
Cookie自社サイト来訪
IDとその取得場所

Cookieが自社サイト来訪時に発行される、そしてアクセス解析ツールはユーザーのサイト上の行動を把握している、ということは上記の表で赤字でハイライトした部分はすべてCookieでも補足できる、ということになります。つまりお問い合わせフォームから問い合わせしてきた、というサイト上の行動をアクセス解析は補足できている、それはユーザーのブラウザを識別するIDであるCookieを付与しているから、という理屈ですね。

さて、ここで勘の良い方ならお気づきかもしれません。つまりこれはCookieというIDは他のIDと連携できる、ということにつながるんですね。

Cookie ID : abcd1234というブラウザのユーザーがメルマガ登録をした、そしてその時のメールアドレスが example@sembear.bizだとしましょう。となるとこの「example@sembear.biz」というメールアドレスのユーザーが使っているブラウザはabcd1234だ、という紐づけをすることができる、ということですね。

プロファイルをリッチにする、という考え方

こうなってくると話はだいぶ分かりやすくなります。例えば店頭で会員登録した「example@sembear.biz」というユーザーがサイトからポイントを確認するためにログインする、という行為はこのメールアドレスとCookieの紐づけ、という観点から理解するべきデータの活用です。

こういったIDの連携を行うことでサイト上の閲覧行動、実店舗での購買行動などをシームレスに連携し、顧客理解の促進や施策の成否の判断などが可能になります。つまり「複数のIDを連携することで様々なタッチポイントでのユーザー行動を捕捉する」ということが可能になりますし、こういった形で自社データを拡充させることを「プロファイルをリッチにする」という言い方で表現することがあります。

もう少し上級者向けの話をしておくと、Cookieとはあくまでブラウザを識別するIDであって人を識別するものではありません。このように「人そのものを識別はできないけれどデバイス(ブラウザもデバイスの一個と考える)を識別するID」とメールアドレスや電話番号のように「人そのものを識別するID」は個別に扱われることがあります。人を識別するIDとデバイスを識別するIDとの関係性をIDグラフと言いますが、詳しい説明はまた別の機会にしておきましょう。

欧米では「Unified Customer View(統合された顧客分析画面、というニュアンス)」という言葉があるように、オフラインとオンラインでバラバラに顧客に向き合う時代は終わりました。特に消費者のデジタル行動が活性化していくこれからにおいて、IDをうまくつなげて消費者像の把握をすることはより重要になることは間違いありません。

また、Cookieの利用規制やユーザーのプライバシーという観点でも1st party dataは極めて重要です。3rd party cookieを縦横無尽に活用できた2020年までとは違い、2021年以降ユーザーの許諾を得たデータ取得が重要になります。そういう意味でも1st party dataは唯一、ユーザーからの許諾を得てリッチなプロファイルを作ることができるデータになります。プライバシーに配慮をしつつ、充実した顧客体験の提供に活用できるよう、自社データを活用していきましょう!

自社データの活用とCookieの利用制限について、弊社が2020年4月に実施したウェビナー「Cookie利用制限のその先 part1」の講演資料がダウンロードできます。ぜひ以下のフォームよりお申し込みください!
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