
自治体のホームページ更新やSNS投稿って、日々の業務の一つとして“なんとなく”続けている方が多いと思います。でも、いまの時代、住民が情報を得る手段の中心は、もう完全にデジタルです。
本来、デジタル発信は特別なスキルじゃなくて、自治体職員が身につけておくべき“業務の基礎”になりつつある。それなのに、その重要性って、まだあまり浸透してないんですよね。
そこで今回は、デジタルのプロではない自治体職員、特に地方の自治体職員がデジタルマーケティングを学ぶべき理由についてお話しします!
1.デジタルは国語・算数レベルの“一般教養”になった
いま、自治体の情報発信を考えるうえでまず押さえておきたいのが、デジタルは「専門家だけが扱うもの」ではなくなったという現実です。住民の情報行動は、すでに完全にデジタル中心です。
イベントを調べるのも、制度を探すのも、観光の下調べをするのも、全部スマホ。検索して、SNSを見て、地図アプリで場所を確認する。もはや生活の“前提”がデジタルになっています。
国語で文章を書く力、算数で数字を読む力、理科で仕組みを理解する力、社会で背景を読み解く力。これって、どの部署の職員でも必要な“基礎スキル”ですよね。同じように、デジタルマーケティングは「情報をきちんと届ける力」になるんです。
- ・文章を誰に向けて書くのかの整理の仕方
- ・読みやすい伝え方
- ・どうやって情報を見つけてもらうのかの視点
- これらは特定の担当者だけが知っていればいいものではなく、もはやどの課どの職員でも必要になるものです。
だからこそ デジタル=一般教養 という位置づけになります。

2.デジタル情報発信には、“やるべき理由”が揃いすぎている

理由1:デジタルは、もうメインストリーム
まず押さえたいのは、世の中の情報流通の中心がデジタルに移ったということ。
インターネット広告費は、マス四媒体の合計を超え、今も伸び続けています。
民間企業は「どうデジタルで届けるか」を前提に動いています。
行政も本来は、住民の行動に合わせていく必要がある。住民がスマホで情報を探すなら、自治体もそこに合わせるべき。デジタルで情報発信していくことは、もはや最低限のスタートラインです。
理由2:多くの人に届けられる
デジタルの大きな強みは、とにかく多くの人に情報を届けられる ことです。
自治体の情報は、子育て、観光、イベント、制度、移住など、幅広い住民に知ってほしいものが多いですよね。紙媒体だとどうしても届く範囲に限界がありますが、デジタルなら、
- 検索した人に届く
- SNSで広がる
- スマホの通知で見る
- シェアで一気に伝わる
というように、広がり方の規模がまったく違う。「とにかく広く届けたい情報」が多い自治体にとって、デジタルは最適な手段なんです。
理由3:再現性が高い(計測→改善できる)
デジタルの一番の特徴は、「なぜ成果が出たのか/出なかったのか」が後からわかること。これは行政にめちゃくちゃ向いています。
- ・どのページが読まれたのか
- ・どこで離脱されているのか
- ・どの導線が強いのか
- ・どんな改善が効いたのか
担当が変わってもデータが残り、紙だと絶対にわからないことが全部わかる。
自治体は異動がある中で事業を主観ではなく客観的な「数字」としてみて引き継いでいくことが大事なので、こういう数字で検証して積み上げられるデジタル情報発信は相性が良すぎます。
理由4:他の媒体に比べて、圧倒的に“安く”届けられる
マス四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)は、広告費用が非常に高い。
一方でデジタルは、少額から始められ、多くの人に届けることができ、数字をもとにした分析・改善ができる、という特徴があり、地方自治体のように予算に限りがある組織ほどメリットが大きい。
つまり、「費用がないならデジタル」という考えが実は合理的なんです。
3.しかし、地方は“構造的に”デジタルが進みづらい
ここは自治体だけの問題ではありません。地方という環境そのものが、デジタルに取り組みにくい構造になっている という点が本質です。
まず、地方は人口も企業規模も都心部と比べて小さく、情報発信の文化も紙媒体が中心のまま残っています。さらに大きいのが、デジタルのプロが地方に圧倒的に少ないという現実です。日本の広告代理店業界は、機能も人材もノウハウもほとんどが東京に集中しています。電通・博報堂のような大手はもちろん、中堅クラスの代理店ですら東京に本社機能が固まっています。
つまり、地方でデジタルに取り組もうとしても、
- ・相談したい相手が近くにいない
- ・最新事例に触れにくい
- ・デジタルを正しく適切に扱う企業が少ない
- ・大きなデジタル案件が地域に落ちてこない
という構造上のハンデが最初から存在している。
一方で都市部は、人口も企業数も多く、デジタル人材も代理店も制作会社もすべてが近くに集まっています。だから試せばすぐ結果が返ってきて、改善も早く、ノウハウも溜まっていく。放っておいてもデジタルが進む環境なんです。
こうした違いが積み重なることで、都市部と地方のあいだに“情報発信力の格差”が自然と広がっていく。地方が悪いわけではなく、構造上どうしてもそうなってしまう仕組みがある、という話です。
4.だからこそ、自治体職員こそ“デジタルの旗振り役”になるべき
地方は民間企業も広告代理店も、構造的にデジタル情報発信が進みづらい環境にあります。デジタル人材は集まりにくく、相談できる相手も限られ、都市部のように「民間が先に動き、行政が後から追う」という形が成立しにくいのが現実です。
この状況では、民間の動きを待っていると 地域のデジタル情報発信が一向に進みません。むしろ時間が経つほど人口減・流出・企業縮小・税収減が進み、自治体の方が先に疲弊してしまうリスクすらあります。
つまり地方では、「民間が先にデジタル化し、それを行政が後から追従する」という都市型の構図が成り立たない、ということです。
地方は“行政が後ろにいると、地域がそのまま沈む構造”になっている
人口減、若者の流出、企業規模の縮小、税収減──地方では、この“縮小サイクル”が同時に進みます。
この状況で民間の動きを待っていると、
- ・そもそも民間企業がデジタル投資に踏み切らない
- ・代理店もデジタル支援の体制が整わない
- ・住民も情報に触れる機会が増えない
- ・地域全体の認知が落ち続ける
- ・観光・移住・企業誘致が弱くなる
- ・人口減少が進む
- ・税収がさらに下がる
という負の連鎖が起きます。民間企業のデジタル情報発信を“見てから動く”ではもう間に合わない。
自治体が動くことで、初めて地域に“デジタルの入口”ができる
地方でデジタル発信の火種をつくれるのは、実は自治体しかありません。
公共の立場から発信でき、ある程度の予算を使え、地域全体を見て取り組みを設計でき、成果を地域に還元できる。そして地方では比較的大きな組織としてナレッジを残せる。こうした役割を担えるのは行政だけです。
自治体がデジタルで小さくても成果を出すと、「データで改善できるんだ」「発信すると届くんだ」という手応えが、地域の住民や企業に“見える形”で示されます。その“見える化”がきっかけになり、少しずつ地域にデジタルが浸透していく可能性が生まれます。
もちろん、それだけで地域全体が急激に変わるわけではありません。ただし、自治体が動かない場合は 変わる可能性すら生まれない。これは地方ならではの構造かと思います
地方の構造を踏まえると、自治体が旗振り役になることが必要
デジタルは「やったほうがいいもの」ではなく、地方では「やらなければ地域が立ち行かなくなるもの」となっています。
そしてその最初の一歩を踏み出せるのは、民間でも代理店でもなく、自治体です。だからこそ、デジタルのプロではない自治体職員の方こそ、デジタルマーケティングを学び、デジタルの旗振り役になるべきだと考えています。
地方の構造的な課題を考えると、自治体が先に動くことには大きな意味があります。その一歩が、地域の未来を左右すると本気で思います。
まとめ
ここまでお伝えしてきたように、デジタル情報発信は「専門家だけが扱うもの」ではありません。すでに国語・算数と同じように、社会人が身につけるべき一般教養の一つになっています。
そして、デジタルが最も必要とされているのは都市部ではなく、むしろ地方です。地方は民間企業も広告代理店も、構造的にデジタルが進みにくい環境に置かれており、そのまま時間が経つほど、地域そのものの体力が削られてしまいます。
だからこそ、地方では自治体が“最初の一歩”を踏み出すことに意味があります。行政がデジタルで成果を出すことで、住民にも企業にも「やってみよう」という空気が生まれ、地域にデジタルの入口が開かれます。
デジタルは安く、速く、広く、再現性のある手段です。正しく適切な知識のもとであれば専門家ではなくても扱うことができ、改善を積み重ねれば確実に成果が出ます。だからこそ自治体職員の方にこそ、デジタルを学ぶ価値があります。
小さな改善でも構いません。ページタイトルを変える、SNSで一つ投稿してみる、アクセス数を見てみる。その一歩が、地域の未来を変えるきっかけになります。ぜひやってみましょう。
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