
先日、日経新聞に「国内でグーグル検索を通じたウェブサイトへの訪問数が過去2年間で33%減った」という調査が公表されていました。chatGPTやGeminiという生成AIの台頭、またGoogleによるAIoverviewの実装など、情報収集の新たな手法としてAIの浸透を実感している方も多いのではないでしょうか。
それに伴い、従来型の検索エンジンは終焉を迎え、SEO(検索エンジン最適化)の位置づけも変わってくるというような見解を目にする機会が増えた気がします。
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利用頻度でみる「検索エンジン」VS「AI」
実際に生成AIの台頭は、検索エンジンで自分の知りたいことを調べるという行為にどれくらいの影響を及ぼしているのでしょうか。米国内の調査ではありますが、検索エンジンと生成AIそれぞれの利用頻度を調査した結果が公表されています。調査結果をみると生成AIを高頻度で利用する人が増えていることが分かります。
一方で、検索エンジンの利用頻度が減少しているかというと、必ずしもそうではありません。生成AIが普及してもなお、検索エンジンで自分の知りたいことを調べるという行為は高頻度で引き続き行われています。生成AIと検索エンジンは置き換わる関係ではなく、用途や目的に応じて使い分けられる補完的な存在になりつつあるのかもしれません。

AIによる行政の情報発信への影響
では、行政の情報の取得についてはどうでしょうか?
行政が発信する情報は、制度や手続き、支援策など、正確性や最新性が強く求められるものが多くあります。そのため、生成AIによる要約や回答が便利である一方で、最終的には公式サイトや原文にあたって確認する行動は、今後も欠かせないものだと考えられます。
実際の数値の変化を見てみましょう。弊社が所持しているデータをもとに、自治体ウェブサイトへの Google 検索経由でのウェブサイト流入数を確認してみました。あくまで一部自治体の事例ではありますが、検索行動の変化を考えるうえで示唆的な傾向が見えてきます。

年末年始等の季節変動はあるものの、生成AIが急速に普及した期間においても、検索経由の流入数が大幅に減少している傾向は確認できませんでした。全体として大きな数値の変化はなく、少なくとも現時点では、自治体ウェブサイトへの検索流入が急激に落ち込んでいる状況にはないと言えます。
もちろん今後、情報取得の行動がさらに変化していく可能性はあります。しかし、少なくとも行政情報に関しては、生成AIが広がる中においてもなお、検索エンジンを通じて公式サイトへアクセスし、一次情報を確認する行動は継続していると考えられます。
生成AI台頭時代に自治体職員が考えるべき情報発信のこと
生成AIの普及によって、市民の情報取得の入口は確実に多様化しています。その一方で、制度や手続き、支援策といった一次情報としての行政の役割は、引き続き自治体ウェブサイトが担い続けるものです。
現時点では、検索エンジンと生成AIは、どちらか一方に置き換わる存在ではありません。生成AIは「何を調べればよいのか」を整理する役割を担い、検索エンジンや公式サイトは「正確な情報を確認する場」として機能する。そうした役割分担の中で、自治体サイトはこれまで以上に“参照される情報源”であることが求められるのかもしれません。
そのために必要なのは、特別なテクニックではなく「誰のために情報を発信するのか」という基本的な姿勢なのではないでしょうか。
- ・誰に向けた情報なのかが明確であるか
- ・タイトルや見出しが内容を正しく表しているか
- ・情報が整理され、探しやすい構造になっているか
こうした基本的な情報設計の積み重ねこそが、市民にとっても、検索エンジンにとっても、そして生成AIにとっても「信頼できる情報」として選ばれる土台になります。
生成AI台頭時代のウェブサイトにおいて重要なことは、正確な情報を、必要な人に、迷いなく届けることなのかもしれません。自治体ウェブサイトが持つ本来の価値を改めて見つめ直すことが、これからの時代においてますます重要になっていくでしょう。




