
今回のBlogは弊社社長の文体や口調、および考えていることを学習させたMyGPT「セラ」が執筆しています。
目次
1. たった一つの不等式
2014年、ボストンのロブスターがやけにしょっぱかった夜のこと。
MITでのカンファレンスが終わり、ボストンにあるLittle Italyのレストランでロブスターを食べていた。そこでロブスターの殻を割りながら、俺は頭の中でたった3つの記号を並べていた。
p≧l>>o
見かけこそ単純極まりないこの不等式で、このデジタルマーケティング業界の組織課題・人材課題ののすべてを説明できるんじゃないか?そんなことを考えていた。
2. p≧l>>oとは何か?
まず、用語の定義からいこう。
- p:業界(市場)の進化速度
- l:個人の学習速度
- o:組織の変化速度
つまりこの文字式は、イノベーションによる業界変化、それに対応する個人、それに対応する企業のそれぞれの速度を表している、と思ってほしい。
俺の経験上、この業界では市場の進化に、やる気ある個人なら追いつける。つまり p≧l は成立する。
もう少しかみ砕いて書くと、pの「業界の進化速度」はいわゆる「イノベーションの速度」と言い換えてもいい。シリコンバレーを中心とするデジタルマーケティング業界は時としてイノベーションのジレンマに侵されながらも、新陳代謝を繰り返してきた。そしてそれは生成AIの登場によりさらに加速しているのは、このBlogの読者ならご存じの通り。
そして、少数ではあるものの、そのpの速さについてこれる人間が存在する。常に自分をアップデートし続け、市場変化に対応し続ける「個」の力。その個人の学習速度はほぼイノベーションによる進化速度と同等になる、つまりp=lという等式も成立しうる。しかし、みんながみんなイノベーションにリアルタイムに追いつけるわけじゃない。つまりlはpと同じになることはあっても上回ることはない。したがってp≧lは成立する。
ただ、組織になると話は別だ。
組織には“出来る人”も“出来ない人”も混ざる。個人の学習速度でいえばlが100の人も5の人もいる。だからどうしても、o(組織の進化速度)はlやpに比べて著しく遅くなる。この構造は、10年以上前から、ひょっとすると検索連動型広告が生まれた20年以上前から、本質的には何も変わっていない。
こんなことをボストンで考えていたのは、そのカンファレンスで話題になった一冊の本、The Second Machine Ageを読んだからだろう。今から10年以上前に機械によって人間の労働が奪われることを記しており、まるで2025年の生成AI時代を予言していたかのような名著である。読んでない方は是非ご一読いただきたい。
3. この式をモデルに考えられること
例えば、あなたの会社にlが極めて高い社員がいたとしよう。一言でいえば「優秀な社員」だ。ひょっとするとその人のlは業界の変化速度とほぼ同等でp=lの状況になっているかもしれない。そこまで行くと優秀な社員というよりはもはや「スーパースター」が存在することになる。
さて、厄介なのはここからだ。
ここでlが極めて高いスーパースターは、当然一定以上の成果を上げる。そして会社としても業績は上がっていく。しかし問題なのは、このスーパースターはlが極めて高いため、当然市場価値も高い。これは給与的な意味合いだけではなく、lが極めて高いスーパースターの人材市場での需要が大きい、ということも同時に示唆している。
しかし、前述のとおり、会社のメンバーのlは全員スーパースターほど高くない。となるとこのスーパースターは会社に存在することが難しくなる。むしろ積極的に去りたくなる。
というのはこのpとlとoを微分してみたらより明白だ。
4. 微分してみようか?
この式、微分して“加速度”という概念で見ると、こうなる。
p’ ≧ l’ >>>>>>> o’
つまり、スーパースターの学習速度は「加速度」的に速くなっている。しかしo‘が極めて低い組織に存在すると、スーパースターの成長の加速度が鈍化する、つまりスーパースターにとって、その会社は「成長の足かせ」でしかないわけだ。
さらに悲惨なことに、もしこのスーパースターが抜けると、その組織のo‘はさらに停滞する。組織全体のo‘を牽引していたスーパースターがいなくなったから当然と言えば当然の帰結。ただ、その結果この組織のo、つまりイノベーションに組織として対応する力はさらに劣化し、より業界の変化に追いつけなくなる。
つまり、イノベーションに対応できる個人は生き残るが、そこに対応できなかった組織は厳しい状況に陥る、ということにつながる。
The Second Machine Ageでもこの現象はBounty(富の創出)とSpread(格差の拡大)というロジックでかなり似た構造を説明している。また技術の変化が速すぎて現在のスキルや知識が陳腐化してしまう(Never before in history has the present been so temporary.)ことも明記されている。
そしてそのThe Second Machine Ageで記述された未来像は今我々の足元で起こっているわけだ。
5. 組織を進化させる、たった一つの方法
pとlがある限り、市場と個人は先に進む。かつ組織としてはlが高い人材を「雇い続ける」ことが生存に直結する。つまり生成AI時代、デジタルマーケティング業界で組織が生き残るための唯一の道は──
組織を構成する全員のlを、個別に最大化すること。
育成とは、**組織における「lの最大化装置」**であるべきだ。
lを最大化するのは勉強だけでは不可能なんだ。ってのは大人になって学ぶためには金銭的なインセンティブもそうだが、好奇心や野心、探求心といった、一人一人のパーソナリティに強く依存をするからだ。
ちょっと考えてみよう。学校の勉強は基本的にクラスで同じ単元を同じように学ぶ。それは否応なく義務教育ってやつだ。でも大人になったら学ぶことは「義務」じゃなくなる。むしろ給料がもらえる範囲で最低限の仕事をするだけなら学ぶ必要はないのかもしれない。
学んだら給料があがるとか役職がつく、というインセンティブは短期的には効果的だが、ここでもう一つの悲劇が発生する。それは「ピーターの法則」だ。いわゆる「出世したら無能になる」ってやつだね。さらに言うと、残念ながらこのp≧l>>oにおけるlは「出世することで鈍化する」ことが想定される。なぜならマネジメントになることでpにキャッチアップする努力の時間をそがれるからだ。
つまりlを最大化するには、本人の性格や興味、価値観などを踏まえた「個別の指導」が必要ってことになる。
だから俺は10年以上、地道にOne on One研修を続けてきた。
pに食らいつける人間を、1人でも多くつくるために。
そして、生け簀で口をパクパクするだけの“演者”じゃなく、問いを立てる“仕掛人”を育てるために。
6. おわりに
この不等式、実は当たり前のことしか言ってない。
でも、それを“本気でやるかどうか”が全てなんだ。
成長は、組織の規模じゃなく、問いの濃度で決まる。
そう信じて、今日も誰かと膝を突き合わせる。
泥臭い問いの現場が、俺の居場所だ。




