「計測」こそ「民意」である:政策立案に必要なGoogle Search Console

Google Search ConsoleとEBPM

目次

さて、様々な議論が交わされた衆議院選挙が先日無事に終わりました。特に自治体職員の皆さんは選挙対応などでいつも以上に多忙な1月から2月だったのではないでしょうか?

今回の選挙でも「SNS旋風」という言葉で表されるように、デジタルでの情報発信が投票行動に影響を与えたことが指摘されています。これは今回の選挙に限った話ではなく、2025年に実施された参議院選挙でも明確に影響がありました。

さて、ここでちょっと見方を180度変えてみましょう。SNSが投票行動に影響を与えることは事実としてあるとして、その逆として、行政の政策立案が、SNSや検索行動など、住民の方に影響を与えることはあるのでしょうか?

あまり公には言われているところを見たことはありませんが、実は住民の皆さんの「情報需要」を見ることで「民意」を把握することは不可能ではありません。例えば弊社で情報発信を支援しているとある自治体さんの場合「希死念慮」という言葉での検索が統計的にみて優位に他自治体よりも多いことがわかっています。

また、その自治体の人口構成や産業集積の度合いによって、「子育て支援」や「保育園」関連の検索が多い自治体さんと「介護」や「生涯学習」関連の検索が多い自治体さんも存在します。

つまり住民の皆さんが求めている「行政サービス」は「検索のログ」に如実に表れているのです。

こういう話をすると、割と多くの職員の皆さんから「公式ホームページ内」の検索機能について相談を受けるのですが、実は弊社が今まで見てきた100を超える自治体の公式ホームページについていえば、トップページに訪問して検索をする、カテゴリを下って目的のページを探している住民の割合は全体の2割にも届きません。

圧倒的多数の住民の皆さんはGoogleやヤフージャパンなどで検索をしたうえで、目的のページに直接訪問をしています。つまり、住民の方の「民意」を正確に測るには、どのような検索が「Google」や「ヤフージャパン」で行われていて、その検索のうち何パーセントぐらいが公式ホームページに訪問しているのか。つまり、住民が『〇〇市 子育て』と検索したのに、そのうちの何割が実際に市のページを見てくれたのか。あるいは、見ずに他へ行ってしまったのか。 この『取りこぼし』を知ることが重要です

そしてこの検索の履歴を追いかけられる唯一のツールが「Google Search Console」です。

民間企業のデジタルマーケティングと地方自治体のデジタルマーケティングの一番大きな違いが、おそらくここです。民間企業の場合様々な来訪元から、どれくらいの来訪が発生し、そしてどの来訪元が最も売り上げに貢献しているのか、という「サイトの中」の分析に大きな負荷がかかります。

ところが自治体の公式ホームページでは何か物を売っているわけではありません。多くの住民の方は自分の悩みに対応したページを見て、それで悩みが解決して終わりです。

ちょっと表現を変えましょう。住民の方が自治体の公式ホームページに来訪するときは、概ね何かしらの「お困りごと」があるはずです。だからこそ住民の方はそのお困りごとを「検索」することで、自治体の公式ホームページに訪問をしているのです。

つまりホームページに来訪する「前」の段階の行動補足がない状況で公式ホームページを作ってしまっては、住民の方のお困りごとに答えられるページになりません。そして結果として情報が伝わらない、という状況が発生します。

この「公式ホームページに来訪する前」の行動を補足できる唯一のツールが「Google Search Console」になります。

ほとんどの自治体さんの公式ホームページでは導入がされているものではありますので、ぜひ一度ご覧になることをお勧めします。

さらに言えば、この検索ログを見ていくと、住民の皆さんの「問題」が如実にわかってきます。

多くの自治体で「住民アンケート」が行われていますが、実は住民アンケートは多くの場合「バイアス」がかかります。というのも行政が主導するアンケートに回答をしよう、という人はもともとその自治体・地方に対する愛着が高く、地元の人間としての誇り(シビックプライド)が高い傾向があるのです。そうなると住民アンケートの結果は非常に好意的で、何ら問題がないような傾向になりがちです。

しかしながら、実際には住民の全てがシビックプライドにあふれているわけではありません。いわゆる「サイレントマジョリティ」と言われる「声を上げない多数派」こそ行政として捉えるべき住民のはずです。

冒頭の例に戻りましょう、アンケートで『死にたいですか?』と聞いても誰も答えません。しかし、検索窓にはその言葉が打ち込まれています。これこそが、行政が救うべき、しかし届いていない『真のニーズ』なのです。

このサイレントマジョリティの声にならない要望を可視化する、ほぼ唯一のツールが、上記にあるGoogle Search Consoleだといえるでしょう。多くの住民の方が「内心」として思っている「行政へのニーズ」は「検索」にこそ現れます。なぜならば「内心」で思っている住民の皆さんは「アンケート」には無関心だからです。

ぜひ一度「Google Search Console」を見ながら、必要な「政策」を考えてみませんか?

author avatar
sembear
sembear合同会社の代表・CEO。アドテクノロジー、マーケティングテクノロジーについての精密で正確な理解と、元来の理屈っぽい性分も相まってデジタルマーケティング業界に長年在籍。得意領域はマーケティング戦略設計と戦術実行までをしっかり落とし込むことと、その結果をデータとして明確に補足すること。暇があったら音楽制作に勤しむアドテクおじさん。