「努力せよ」はもはや拷問か。デジタル世代の育成に欠けた「希望」というファクター

「努力せよ」はもはや拷問か。デジタル世代の育成に欠けた「希望」というファクター

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2025年もいよいよ年の瀬となりました。

今回のBlogでは改めて「人材育成企業」として、弊社が取り組んできた事例を紹介しながら、多くの企業・組織で見過ごされているように見える、人材育成において重要なファクターである「希望」について掘り下げたいと思います。

電通デジタルOne on One研修インタビュー

今年の4月に事例として掲載させていただいた電通デジタル様のOne on One研修についてのインタビュー記事です。弊社が提供している広告代理店のデジタルマーケティングコンサルタント育成のコアサービスであるこのOne on One研修も、卒業生が200名を超え、その多くが業界の第一線で活躍してくれています。研修を提供している側としてこれほどうれしいことはありません。この記事中で電通デジタルの田上さんは以下のように発言をされています。

田上:そうですね、実際にOne on Oneでの面談や研修があって、最初「何を話せばいいんだろう」っていうのはあったんですよね。でも話していく中で、自分で牧師さんに懺悔しながら自分の足りないところに気づく、っていうのを繰り返す中で、自分の理想像と現状のギャップが意識できるようになって、何を努力すればいいか、っていうのがちゃんとわかったっていうのは本当に大きな違いだったと思います。

もちろん今までの仕事でも努力はしてきましたが、ただがむしゃらに頑張っていただけ、っていうのも否定はできないのかなと思うんです。今は行きたいところが明確に意識できて、そこに向けて正しい努力ができる環境、っていう感じはしますね。

これは当たり前の話ではあるのですが「がむしゃらに頑張れ」というのは、実は残酷です。頑張ることはその努力における報酬があって初めて成立します。この考え方を踏まえると、田上さんが「正しい努力ができる環境」という言葉の意味が非常に大きいことがお分かりいただけるでしょう。

多くの組織で「デジタル人材」について「社内の若手にアサイン」することで終わらせしまうケースが後を絶ちません。弊社が展開している自治体向けのデジタルマーケティング支援においても「何もわからないまま丸投げ」された担当者が五里霧中の手探りの中、結果として「心折れて」しまい、前例踏襲の罠にはまってしまうことが珍しくありません。

この「デジタルは若手に丸投げ」は田上さんの言葉にある「正しい努力ができる環境」と対極にある概念です。この「丸投げ」は「努力せよ」と言いながら、その努力に必要な道具や知識が十分ではなく、そして努力した先に何があるのか、という「報酬」すら不明確か、または存在しない、ということを意味しています。

人はなぜ「頑張ること」ができるのか?もちろん知識も道具もお金も十分に揃えられることは稀でしょう。しかし、組織として、その努力をしたらどう報われるのか、という「希望」を作ることは絶対に可能です。むしろ「希望」がないまま「努力せよ」と伝えることはもはや「拷問」であり「叱咤激励」ではないのです。

「努力」と「希望」の相乗効果

この「努力」と「希望」というキーワードを軸に、弊社が今年実施した研修のレポートからいくつかコメントを見てみましょう

岩手県宮古市:ホームページ研修

ホームページの検索数に対してのクリック率など気にかけたことがありませんでしたが、研修を踏まえ、作成するページの表記内容について今一度見直したい思いました。これから、研修の成果をきちんと形にできるよう努めたいです。

これは「自分の努力」が「クリック率」という数字で反映される、つまり努力した結果がしっかりわかる、という「希望」があるからこそ出てくるコメントです。手前味噌ではありますが、単なる「デジタルを教える研修」ではなく「やった結果何の数字が改善するか」という因果関係を明確にした弊社の研修メソッドがしっかり発揮されたケースだと思います。

栃木県真岡市でのGBP研修

伝わりやすい掲載方法や検索されやすいような紹介文の書き方の具体例が参考になった。 ワークで振り返り、現状を自己分析できた!

こちらの研修は真岡市様が主催し、市内の事業者のGBP(Google Business Profile)活用を支援する研修でのコメントですが、こちらには「現状を自己分析できた」という言葉があります。「努力」は「やみくも」にやっても意味がありません。今自分が置かれている状況を冷静かつ正しく認識しなければ、「間違った努力」をすることにしかなりません。こちらもデータを活用し、現状を正しく分析しながら必要な努力をインストールしていく弊社の研修スタイルがしっかり出た結果かな、と思っています。

デジタルマーケティングの人材育成を提供している弊社ですが、弊社の研修スタイルがこれらのコメントやインタビューからお分かりいただけたなら幸いです。ただ、本質的に「デジタルに取組む努力」を要求する一方で、その努力に必要な「希望」がない状況にある組織が多いこともまた記しておきたいとも思います。

そして、本質的にその「希望」を作ることができるのは「上級管理職」以外には存在しません。これは自治体でも一般企業でも広告代理店でもよくあることなのですが、上級管理職、つまり「年長者」が、自分の時代の状況を踏まえて若者に努力を「強いる」ことがあります。

デジタル化が進み、AIか進化し、これからの「仕事」すらどうなるかもわからない時代に、若手に「希望」を見せずに「努力」を強いるのは、前述した通り「拷問」以外の何物でもありません。年長者だからこそ社会の進化を見極め、組織として適切な努力ができる方向に舵をとり、そしてその努力の火が絶えないよう「希望」を掲げ続ける義務があるのです。

2026年もsembear合同会社は、デジタルマーケティングにかかわるすべての方の「努力」と「希望」を支えていきたいと思います。

それでは皆様、よいお年を!

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sembear
sembear合同会社の代表・CEO。アドテクノロジー、マーケティングテクノロジーについての精密で正確な理解と、元来の理屈っぽい性分も相まってデジタルマーケティング業界に長年在籍。得意領域はマーケティング戦略設計と戦術実行までをしっかり落とし込むことと、その結果をデータとして明確に補足すること。暇があったら音楽制作に勤しむアドテクおじさん。