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広告代理店において「テクノロジーの理解」はどこまで必要なのか?

ここまでわかってなきゃダメ?

先週終わった「Cookie利用制限のその先 part2」ですが、コメントをいただけた方は皆さん非常にためになったとお言葉をいただき、ちょっと安堵をしております。正直なところ、かなり突っ込んだ内容ではあったので、賛否両論あるかなあ、と思っておりました。

さて、それに伴い昔から言われる質問について弊社なりの見解を改めて言語化してみようかと思います。それは「広告代理店の営業やコンサルはどの程度のテクノロジー知識が必要なのか」という話題です。

テクノロジーの分類

実は「テクノロジー知識」とは大きく三つに分類されると弊社は考えています。具体的に言えば

  1. ターゲティング技術
  2. 配信技術
  3. 計測技術

この三つです。一つ目のターゲティング技術については、各媒体がそれぞれのアルゴリズムをもって○○に興味があるユーザーなどのセグメントを作っています。ここでは3rd party cookieはもちろん使われていますが、Cookieを付与したブラウザをどのようにアルゴリズムで処理するのか、というものも含みます。

二つ目の配信技術は(1)に付随する部分もありますが、どのような理屈(例えばCPCとか品質スコアとか含めた)で広告が配信されるのか、という話です。

三つ目の計測技術はご存じの通り、コンバージョンの計測がどのようになされているのか、という話になります。

この三つでいうと、実は(1)と(2)はどれだけ調べても最終的にはデータ収集事業者や媒体社のアルゴリズムがかかわってくることがわかります。つまり調べても調べても最終的に全容を理解することは非常に難しいのです。また、言い換えれば(1)と(2)においては実際に配信した結果の運用やチューニングをしながらどのような変動があるかを観察しつつ理解を進めることのウェイトが大切になります。

ところが(3)だけはそういうわけにもいきません。どのように計測されているのか、というのはアルゴリズムというものではなく、実際の明確な基準が普通存在するのです。そしてその「明確な基準」については広告代理店側が理解をしていなければなりません。

計測基準の理解が招く悲劇

ちょっと例を挙げて考えてみましょう。ある商材は消費者が検討する期間が1年近くかかる、かなり足の長い商材だとしたとき、マーケティングの効果をラストクリックだけで計測することはそもそも有益なのでしょうか?言い換えれば、無料会員登録やメールマガジンへの登録を促し、そして長期にわたるエンゲージメントを高める必要がある商材で、ラストクリックコンバージョンだけを見て評価をすることが適切な判断基準になるのでしょうか?

もちろん答えはNoです。もし上記のようなビジネスモデルだった場合、ある程度長期にわたる計測やデータの連携が必要になるでしょう。そして、最大のポイントはこういった部分を見過ごしてマーケティング施策を検証すると、効果があった施策を見極めることができない、つまり改善したつもりが効果を悪化させる、という現象につながってしまいます。

つまり、効果計測の技術については代理店側で(ないしは広告主のマーケター側)に適切な技術知識がなければ、適切なツールの選定ができません。そして適切なツールの選定ができなければ改善のプロセスを回すことができない、という最悪のシナリオにつながってしまいます。

ITPとかCookielessとか

弊社が「世界で一番厳しいITP講習」や「Cookie利用制限のその先」などの講演を行う理由は実はここにあります。ITPはブラウザごとにCookieの有効期限が変わってしまいます。つまりある特定のブラウザについてのみ、評価軸が非常に短くなってしまいます。これが全体の5%のトラフィックであれば無視をしててもいいでしょうが、さすがに30%ともなってくると無視できません。

つまり、2021年現在においては計測技術の正しい理解無くしては正しいPDCAサイクルは実現しえません。そういう意味で、広告代理店や広告主のマーケターは最低でも計測技術についての理解が求められると弊社は考えています。もちろん媒体タグでの計測についても自動最適化という観点で必要ですが、それよりも「自社に適切なマーケティング施策を実施する」という根本の部分で「技術知識」が必要になっているわけです。