デジタルトランスフォーメーション人材育成

リスキリングとデジタル人材

リスキリングとは?

「リスキリング」という言葉が人材育成や人事業界界隈で使われるようになってかなり久しくなりました。昨年からのコロナ禍やデジタルトランスフォーメンションという社会の流れの中で、この「リスキリング」という言葉はより重要な意味を持ち始めています。

「リスキリング」とは英語で書くと「Re-skilling」となり、直訳すれば「スキルの再習得」というべきものです。特に昨今の人材育成界隈では「業務変革に伴うスキルの再習得」、主には企業が従業員に対して「新たに必要とされるスキルを習得させる」というニュアンスで使われていることが多い言葉でしょう。

リスキリングとデジタルトランスフォーメーション

いったんこの投稿では「リスキリング」の定義を上記にある通り「業務変革に伴うスキルの再習得」としておきます。そしてこの業務変革と切っても切り離せないのがいわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)でしょう。

コロナ禍によって浮き彫りになった「社内プロセスのデジタル化」はデジタルトランスフォーメーション最も典型的な例だということは皆さん同意されると思いますが、実際にコロナ禍以前から社会そのものがデジタル化していたという事実を見過ごしてはいけません。そもそもコロナ以前からユーザーはデジタルデバイスを活用していましたし、そのデジタル上の顧客接点から事業を拡大しようというデジタルマーケティングはもっと以前から始まっていました。

そしてコロナ禍によりテレワークが普及したのと同様に、一般消費者も実際に店舗に行かずに消費活動を行っています。飲食店のテイクアウト需要などをイメージしてもらえればわかりやすい話ですが、実際にはもっと広い範囲でデジタル上での消費行動が起こっていることは間違いありません。

日本の統計ではないのが非常に残念ですが、米国において2020年のEC売り上げは前年から30%以上の成長と言われています。これはもちろんコロナによる「巣ごもり消費」の結果、実際の店舗に出向くことなく購買を行う消費者が増えたことが主要因です。https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/11/b0be5f93c399d37c.html

おそらく日本においても同等のトレンドがあることは間違いないでしょう。コロナ禍は非常に大きな事件でしたが、我々が考えるべきは「コロナにどう耐えるか」という議論よりはむしろ「もともと進展していた社会のデジタル化をコロナが加速させた」という視点に立ち、事業のデジタルトランスフォーメーションを推進していく方がより建設的ですし、なにより雇用を守るという観点でも大切なはずです。

デジタル人材化のためのリスキリングとは?

さて、本日の本題です。デジタルトランスフォーメーションに伴う従業員のリスキリングの推進は、おそらくどの会社でも最重要事項のはずです。その上でぜひ考えてほしい点があります。それは「デジタル人材の定義」です。

おそらく多くの企業で「デジタル人材」が示す人物像とはエンジニアリングやプログラミング、IT技術の導入を担う人材、というところでしょうし、それはそれで間違いではないと思います。しかしながら、それで十分かと言われれは残念ながら違う、と弊社は考えています。弊社が考えている「自社のDXを推進できる人物」とは「デジタル活用の理想像を描くことができる人材」であり、その根幹にあるのは「自社が保有しているデータを活用できる」というスキルです。

エンジニアリングスキルやプログラミングスキルが必要ないとは言いません。しかしながらまず本質的に考えなければならないのは「事業のデジタル化の青写真が描く」ということです。

営業プロセスのDXとリスキリング

「営業プロセスをデジタル化する」という議題を例にとってみましょう。

もちろんまず最初に「現在の営業プロセスに対する理解」が必要です。そしてその営業プロセスを単に電話営業やZoomでの打ち合わせに置きかけるのではなく「デジタルならではの付加価値」が発揮できるように考えなくてはなりません。もっとはっきり言えば「従来の営業プロセスよりもデジタル化した営業プロセスのほうが効果的だ」という形で理想像を描けなければならないわけです。

現在の業務を単純にデジタルに置きかけることは決して難しいことではありません、それゆえに「Zoomを導入しただけ」であったり「salesforceを導入しただけ」という小手先の安易なDX事例は枚挙にいとまがありません。しかしながらそういった事例の多くは失敗事例です。「今の営業プロセスをデジタルで置き換える」というのは非常に耳触りの良い言葉ですが、これは言い換えれば「今オフライン主体で動いている営業プロセスを無理やりデジタルで実行する」という、はっきり言えば「逆に手間のかかる」営業プロセスになってしまいます。

さて、ぜひ考えてもらいたいのは「従来の営業プロセスよりも効果的であるデジタル化した営業プロセス」という理想像を作るために必要なスキルとはなにか、ということです。そしてその第一歩はやはり顧客理解となります。

今の顧客の性別比率、年代比率、居住地域などの各種データ、そしてそのユーザーがウェブサイトのどんなページを見ているのか、そして最初に検討を始めてから資料請求をするまでの平均的な期間はどれくらいか、ここに書いた情報はウェブサイトを持っているのであれば実はすでにお持ちのデータです。つまりエンジニアリングやプログラミングだけではなく「今あるデータを活用する」ことが「デジタルトランスフォーメンションにおけるリスキリング」の根幹にあるのです。

自社のマーケティングが自社に固有であるのと同様に、自社の営業プロセスも原則的には自社に固有です。ブランド力で販売している会社やニッチだけど商品力に自信がある会社、BtoBなら営業の人間力で顧客開拓をしていた企業もあれば特定分野の商品力で開拓している企業もあるでしょう。

安易なノウハウ本やツールの導入だけの、言い換えれば「リスキリングを必要としないDX」ではなく、やはり自社の強み、提供価値、そして顧客理解に基づいたデジタルトランスフォーメンションを実現するためのリスキリングを考えてほしいなと強く思っております。