小ネタ

青森県の縄文遺跡群の世界遺産勧告とRingoMusumeに関する一考察

まず、こちらの記事を読んでいただきたいと思います。
日本経済新聞:縄文遺跡群、世界遺産へ 三内丸山など登録勧告

みなさんご存知の通り、この登録勧告においては、青森県の縄文遺跡をアピールするイメージソング、その名も「JOMON」が大きな役割を果たした、ということは推論にはなるけれどもほぼ確定的に間違いはない事実でしょう。

なに?まさか「JOMON」をご存知ない?それはかなり問題です。まさかいないとは思うけど、RingoMusumeが歌う「JOMON」を知らないという方のために、一応Youtubeのリンクを貼っておきましょう。

※ここからの文章は少なくとも「JOMON」を最低ワンコース分聞かないと意味がわからないので、できればフルコーラス聴いてくださいね!

さて、この「JOMON」パッと聴いたら今時のダンスチューン。なんだけど「青森県の縄文時代の遺跡群イメージソング」として、音楽面から言えば非常によく作り込まれたトラックだと思います。

シンセのコードとシンプルなリズムでアミニズムを感じさせるAメロとBメロ、随所に出てくる和を感じさせる音階移動、ボーカルにエフェクトを掛けることで民謡などによくある「こぶし」っぽい雰囲気を出してやっぱり和の雰囲気を演出するなど、よく考えて作ってあるなあと思うわけです。特に裏メロの作り方がそういった部分で顕著ですね。これは渡来文化の影響がほぼない、日本独自の文化である縄文時代を印象付けるうえでは非常に効果的に作用しています。

しかしながら今回注目したいのはやはり歌詞でしょう。 まずサビに出てくる「wild and coolなフェイクファー」 という言葉。

いやいや、縄文時代なんであらゆるものがリアルファーですよね、とリスナーがふと疑問に思ったその直後「Doki Doki Dokiしてみませんか」というパワーワード。

Doki Dokiからのドキからの縄文土器。日本独自の文化でもあり世界的に類を見ない芸術性を持った縄文土器。安直に次ぐ安直なればこそ、むしろ感じさせる安定感とでも申し上げましょうか。むしろリスナーからすればさっきのフェイクファーに続き突っ込みたくなる歌詞の展開とそれが原因でもたらされる「JOMON Girl」という刷り込み。

つまりですね、この曲、はっきり言えば歌詞が基本的に「ツッコミ待ち」なんです。大阪人でなくても思わず「なんでやねん!」って言いたくなるんですよね。そしてそれがまた縄文時代直結展開だからイヤでも縄文遺跡という記憶に繋がってしまう。まさしく計算され尽くした楽曲といえましょう。

それを踏まえて今度はサビの後半で今度は「JOMON Make-Up Girl」というパワーフレーズまで飛び出します。ここがこの「JOMON」の最大のポイントだといっていいでしょう。こちらのサイト(ポーラ文化研究所)を見ていただければお分かりになると思うのですが、実は縄文時代から化粧という文化は日本に存在していました。 以下、ポーラ文化研究所からの引用です。

では、縄文時代の人々は化粧を行っていたのでしょうか。

当時の地層から漆塗の櫛が出土しています。櫛は髪を梳かしたり、飾りとしても使ったと考えられますが、「化粧=よそおうこと」と広く捉えると、この時代にはすでに化粧をしていたことになります。さらに、土偶や土面などの出土品には、顔面に線刻があるもの、赤く彩られたものもあります。

ポーラ文化研究所ウェブサイトより

つまりリスナーとしては「いやいや、縄文時代にメイクはないでしょ」というツッコミを誘発する、一種「ツッコミ待ち」を演出しながらもその裏側ではリスナーを啓蒙しようと言う意図があるわけです。実際に上にあげたPVでも歌っているRingoMusumeの皆さんは「顔に赤い線刻」という縄文時代に実際にあった可能性のあるメイクをしているわけです。なんという高度な計算でしょう。単なるイメージソングの枠を越え、アカデミア的雰囲気すら感じさせます。

しかし、ここまでではこの曲は単なる「縄文時代のイメージソング」でしかありません。これでは「青森県」と言う印象付けができないわけです。 2番のAメロの「青き森」はまあ確かにありますが、やはりポイントは2番サビ後に出てくるラップでしょう。

ラップという曲のブレイク部分に唐突ながらもナチュラルに差し込まれる「like a Ringo」という言葉。これにより青森の名産であるリンゴをリスナーの脳裏にダイレクトに印象付けるという作戦です。 これで今完全に縄文時代と青森県が結びつきました!はい!青森県の縄文遺跡という認知が生まれた瞬間です!

まあ、以上のような考察をしてきましたが、一歴史ファンとして今回の世界遺産勧告は非常にうれしく思っています。縄文時代は実は1万年前から始まっていたというのが現在の定説であり、やはり森羅万象に神が宿る日本独自の価値観、宗教観はこのころから始まっていたでしょうし、何よりその文化は有形であれ無形であれ、現代のわれわれの生活や文化にも影響を与えていると思います。

また三内丸山遺跡の出土品から、縄文時代の生活は、意外なほど豊かでありながらもSustainableだったとも考えられていますし、出土している遮光器土偶が女性の姿が多いことなどから考えても意外に男女平等な文化だった可能性もあります。縄文時代の研究を進めることで、現代に生きる我々が抱えている問題について、考えるヒントが見えてくるかもしれませんね。

以上のように、この楽曲がもたらした認知効果については皆さんご理解いただけたかと思います。sembearとしては今後もRingoMusumeを応援する所存です。

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