自治体サイトのアクセス解析・最初に抑えたい三つのポイント

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参考サービス:地方自治体様向けデジタルマーケティング支援

市役所ホームページ分析バナー

自治体サイトのアクセス解析における最大の課題

弊社は様々な自治体さまにて情報発信のお手伝いをさせていただいております。

ほとんどの自治体様の公式サイトやふるさと納税サイト、移住定住情報発信サイトでは基本的にはGoogle Analyticsが導入されており、そのデータを基にした「自治体ホームページでの情報発信改善」のご依頼から、サイトに限らずソーシャルメディアの反応率向上も含めた「デジタルを活用した情報発信」の改善まで幅広くご一緒させていただいております。

その中で、弊社としても当初かなり悩んだ問題があります。それは「自治体ホームページの改善」とはどのような指標で測るべきか、という問題です。

一般的なアクセス解析・ウェブ解析の常識

一般的な民間企業であれば、ウェブからの問い合わせ、ECサイトであれば商品の購買など、ウェブサイトにおいてかなり明確な「成果地点」が存在します。一般的なアクセス解析・ウェブ解析ではその「成果地点」の最大化、または「成果地点」に到達させる手段の最適化・効率化を目的として行われます。成果地点、すなわち「ゴール」が明確であればこそ、ゴールに至った道筋を分析したり、どの来訪経路(検索経由、ソーシャル経由など)が効果的だったかを分析するアクセス解析やウェブ解析といわれる手法が有効なわけです。

つまり、一般的なアクセス解析・ウェブ解析においては明確な「ゴール」に至る道筋の分析では「直帰率」や「離脱率」などを見て改善してくわけなのですが、自治体サイトでは「直帰率」も「離脱率」もましてやコンバージョン率なども改善を図る指標としては適切ではないことが多いのです。

自治体サイト、特に「市役所・町役場の公式サイト」の場合、市民や住民に向けた情報発信が目的であり、かつ自治体の場合「問い合わせ」や「商品の購買」などの成果地点を設定しようにもほぼ不可能という現実があります。となると「外部から来訪して1ページしか見ていない」という数値である直帰率は「一ページで必要な情報を伝えられた」という評価をするべきかもしれませんし、ひょっとすると一般的なアクセス解析・ウェブ解析の常識のように「来訪したページで見たい情報がわからずにそのまま離脱した」という評価をするべきかもしれません。

したがって自治体サイトのアクセス解析・ウェブ解析で情報発信を実現するにはGoogle Analyticsのような「アクセス解析ツール」だけで何かを判断することが難しい、という現実があります。

さらに致命的な「計測設定問題」

そしてさらに問題を複雑にさせているのが「計測設定」がちゃんとできていないことが多い、という点です。

弊社も様々な自治体様の公式サイト、観光情報サイト、ふるさと納税サイトなどご相談をいただきますが、感覚的には三割近い確率でアクセス解析ツールの設定、もっとはっきり言えばタグの設置にミスがあります。その結果として正常な数値が反映されていなかったり、計測用のパラメータ発行に不備があり来訪元が不明で大枠でしか来訪が負えなかったり、という、分析以前の問題である状況があるのです。

具体的な例を挙げると

  • 特産品紹介サイトの閲覧数が4倍になるような計測設定になっていた
  • GAのタグは設置されているが発動しない設定になっており計測できていない
  • utmパラメータを発行しておらず流入経路に不明な点が多い

という状況が非常に多く、弊社としても分析をする前にまずこの設定の正常化から入ることが非常に多い現状です。さらに、特にGAなどは過去のデータが「間違っていた」場合に修正ができません。過去のデータが正しく蓄積されていない状況では、そもそも改善が出来るようになるまで時間がかかることがほとんどです。

自治体サイトのアクセス解析・ウェブ解析で押さえておくべきポイント

以上のような理由から「自治体ホームページのアクセス解析・ウェブ解析」は決して簡単ではありません。ただそれでも自らの自治体の情報発信を改善する努力をされている職員の方向けに、抑えておくべきポイントを三つほど述べさせていただきます

1. 計測設定の再確認をしてみましょう

何がなくとも、正しい計測設定なしには何も始まりません。まずGoogle Analyticsを導入しているのであればタグが二重張りになっていないか、UTMパラメータはちゃんと発行されているのかを含めて「計測設定」に不備がないかを確認しましょう。最低限これがあるだけで、少なくとも「数値」を正しく見ることが可能です。

2. ページの分類をしておきましょう

市役所・町役場の公式ウェブサイトには膨大な量の「ページ」が含まれています。それらのページ一つ一つを分析対象にしていては時間もリソースも足りませんし、なにより「木を見て森を見ず」という状況になりがちです。例えば「コロナ関連」のページなどを一つのまとまりとして捉えて、そのまとまりごとの数値の傾向を見ていくようにしていきましょう。

3. 来訪経路を大枠でよいので把握しましょう

弊社が今まで見てきた自治体の公式サイトにおいて、そのほとんどが検索エンジンから発生しています。その一方で、自治体としてTwitterやYoutubeを使っている場合に、そこからサイトに来訪してきたかを職員の皆さんが把握されていないことがあります。成果地点がわからない以上、まずは多くの住民の方にみてもらうことを実現する上で「来訪経路」を見ておくことは最初の一歩として必要になります。

アクセス解析だけの限界を理解しよう

本日の結論として言えることは、自治体サイトにおけるアクセス解析は、それ単体で情報発信の改善を実現することは決して簡単な話ではありません。また、アクセス解析ツールの設定自体が間違っている場合、そもそも改善自体が不可能です。

以前のBlogでも書きましたが、弊社が自治体さんの情報発信を支援する際にはGoogle Analyticsなどのアクセス解析ツールだけではなく、Google Search ConsoleやTwitter Analyticsなどアクセス解析以外の各種数値を取り込み、複数の切り口から情報発信改善案を検討することにしています。自治体サイトの改善のためには、アクセス解析ツールだけではなく、他のデータも含めて分析をする必要がある、というのが現状の結論です。

弊社では自治体様の情報発信改善のヒントをまとめたホワイトペーパー「データ活用で変わる自治体の情報発信」を無料で提供させていただいております。アクセス解析も含めた情報発信に関心のある皆様、是非ご活用ください!

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