デジタルマーケティング推進を阻む「組織」の壁

デジタルマーケティング成否のカギは「前のめりな上司」説

目次

デジタルマーケティング「価値」を理解できない組織

「デジタルマーケティングの人材育成」という事業を展開していると、かなり頻繁に直面する壁があります。それは「技能の習熟を求める側(つまりマネジメントレイヤー)が必ずしもデジタルマーケティングに前向きであるわけではない」という現実です。

これはやや脚色とフェイクを入れますが、実際に「(弊社の伴走型デジタルマーケティング支援を受けている)スタッフが何をやっているのかわからない」ということを言われたことも一度や二度ではありません。こういったケースになるとなかなか弊社としても継続して支援することが難しい反面、現場の方のモチベーションを考えるとどうふるまえばいいのか非常に悩むことになります。

逆にマネジメントレイヤーがデジタルマーケティングの「価値」を理解する、またはマネジメントも含めてデジタルを活用する意識が高い会社の場合、もちろん上に書いたようなことは起こりません。むしろ社内への横展開であったり新しい事業方針などにも携わることもあり、弊社としても非常にやりがいをもって取り組むことが出来ます。

デジタルマーケティング業界であっても同様の壁

一方で会社を立ち上げる前から広告代理店さん向けには人材育成プログラムを提供していた我々ですが、その際にはこういった問題はほぼ起こっていませんでした。しかし最近似たような問題にぶつかることは決して珍しくありません。

例を挙げると、弊社が提供している効果計測系やテクノロジー系の研修内容は知識の粒度が細かく、そして難解な内容も含めて解説をしているのですが、その内容についてNGが出るケースが実はあるのです。その理由としても「自分の会社にとっては高度すぎる」という返答が、特にマネジメント層から言われることがあります。

これは現在マネジメント層に当たる年代の方々が現場を過ごしていた時代に必要とされていたテクノロジーに対する理解が、その時代で留まっていることがその理由の一つです。確かに昔はせいぜい1st party cookieと3rd party cookieという言葉を何となく理解できていれば何とかなった部分はありましたが、現代においてこのレベルでの理解では太刀打ちできないわけですから。となると、今現場で必要とされている知識や、実際に取り組んでいるCookieless時代への対応などについて「何をやっているのかわからない」と思ってしまう人がいる現状につながってきます。

成長している組織=マネジメント層から前のめり

先日、とあることから某広告代理店(自分と同世代の方ですね)とお話をする機会がありました。弊社が提供しているProgrammatic IO 2022 レポートについてのお問い合わせでした。その際に「いやー、僕もここら辺の理解がまだまだなのでうちの若手も含めて聞きたいんですよね」とその方はおっしゃっていましたが、実はこの一言って非常に重たい一言だと思います。

「10年以上デジタルマーケティング業界に身を置いていながら、現状の知識だけでなくさらにその先を求めるマネジメント層」がいることは、文字で与える印象以上に非常に重要なポイントです。単に個人の成長という話ではなく、現場の試行錯誤のレベルが大きく変わることで、組織全体に作用するからです。

マネジメント層が先端的な知識の習得に意欲的である場合、それは現場にとっては「新しい武器」に触れるチャンスになります。言い換えれば「若手」のスタッフにとっては「先輩がまだ習熟できていない領域」に触れられるわけなので、良くも悪くも野心的に挑戦できる領域に触れられることになります。はっきり言えば「個の新しい領域で俺がこの会社で一番になれる!」というチャンスを作ることが出来るわけです。

そうなると試行錯誤が進んだ結果、組織の新陳代謝も進み、より一層前のめりに進んでいく組織が出来上がってくるわけですね。

「何をやっているか」をしっかり知る努力が必要

だからこそ、冒頭に書いた「スタッフが何をやっているのかわからない」という発言はかなり重たい現実を含みます。デジタルマーケティングは確かに新しい産業ですし、しっかりと理解できている人が少ないことは事実でしょう。であればこそ、弊社も伴走型デジタルマーケティング支援をサービスとして提供しているという事実があるわけです。

無論なんだって前のめりにやればいいってものではありません。しかしながら、新しいことに取り組んでいるその内容を「理解」する努力を放棄していては、組織としての習熟速度が個人の学習速度を大きく下回ってしまいますし、その結果として前向きに取り組んでいる人が孤立する現象も少なからず発生してしまうのです。せっかくデジタルに取り組むのに、やはりこれではデジタルマーケティングの推進や成功はほぼ不可能だと言わざるを得ません。

弊社では「デジタルマーケティング組織開発」サービスにて、実際の業務のリストアップ、技能の習熟度を測るスキルシートの作成など「組織としてデジタルに向き合う」サービスも提供をしております。その中には広告代理店さんの社員評価にも使われている8系統51項目の詳細なスキル評価シートや職階職位のテンプレートのご提供もしております。

ぜひ「組織として」デジタルに向き合うためにも「デジタルマーケティング組織開発」についてご検討いただけますと幸いです。