そのCookie、1st party?それとも3rd party?

広告運用者ならわかっておきたいCookieの基礎の基礎

まずは基本。1st party cookieと3rd party cookieの違いとは?

弊社の超人気研修コンテンツでもある「インターネット技術基礎研修」でもずいぶん説明している内容なのですが、改めて1st party cookieと3rd party cookieの話をしましょう。改めてこういった投稿を書く理由なんですが、先ほどとあるYoutube動画を見ていたら、またちょっと間違った情報が流布されていたので、微力ではあるものの「正しい理解」の情報発信をする必要性があるかと痛感したのです。

まず前提として、1st party cookieと3rd party cookieとは「扱い」の話であって「1st party cookie」というものと「3rd party cookie」というものが別個の存在としてあるわけではありません。ひとつわかりやすい例を出しましょう。

例えばあなたがとあるサイト(ここではhogehoge.com、としておきましょう)に来訪をしています。そこにはYahoo! Japanのリタゲタグが入っていました。この時Yahoo! JapanのリタゲタグはYahoo! JapanドメインのCookieを発行します。この時は「ブラウザでみているサイトのドメイン(hogehoge.com)と異なるサイトのドメイン(yahoo.co.jp)から発行されたCookie」なので文字通り「3rd party cookie」になります。

ところが、あなたは日常的にYahoo! Japanにアクセスしています。となると先ほどのリタゲタグが発行した「yahoo.co.jp」ドメインのCookieは「ブラウザでみているサイトのドメイン(yahoo.co.jp)と同じサイトのドメイン(yahoo.co.jp)から発行されたCookie」になるわけです。となるとこの場合は「1st party cookie」として扱う、ということになります。

1st party cookie, 3rd party cookie識別イメージ

以上のように、まず大前提として「1st party cookie」と「3rd party cookie」は「Cookieの発行や読み取り時の扱いの違い」であって「1st party cookie」というものと「3rd party cookie」というものが別個の存在としてあるわけではない、ということを頭に入れておきましょう。

Google Analyticsの場合:1st party cookie

たまにアドテク関連のニュースをYoutubeでみていると、堂々と「Google AnalyticsのCookieは3rd party cookie」なんてことを言っている人がいますが、大半の方はご存じの通り、Google AnalyticsのCookieは「タグが設定されたドメインのCookie」つまり「1st party cookie」です。

昔のUAのタグだと「google-analytics.com」なんていうドメインがタグの中に出てくるので、早合点して「GAのCookieはgoogle-analytics.comというドメインから発行されたもの(つまり3rd party cookie)」だと勘違いしてしまう人がいるは割と昔からいたことは事実です。ただ、ここまでCookie規制の話が周知されている現状ですし、ここでしっかり理解をしておきましょう。

ただ、ポイントになるのはここでいう1st party cookieの「発行方法」によってCookieの有効期限が変わる。ということなんですね。

AdEbisの場合:1st party cookie

それでは日本の効果計測ツールの代表格、イルグリム社のAdEbisではどうでしょうか?

こちらも実はGoogle Analytics同様「タグが設定されたドメインのCookie」つまり「1st party cookie」です。ただ、Google Analyticsの発行方法とは異なる発行方法を設定できるため、Cookieの有効期限は長く設定できます。詳しくは以下のリンクをご覧いただきたいのですが、NSレコード設定を活用することで、ITP影響下におけるCookieの有効期限を長期にわたって設定できるわけですね。

AdEbis公式サイト:NSレコード設定について

つまり、同じような計測ツールであっても、そして同じ「1st party cookie」であってもツールとその設定次第では計測できる期間も変わるし、計測期間が変われば(見た目上の)コンバージョンの件数も変わる、ということがわかると思います。

広告媒体の計測タグ:1st party cookieもあれば3rd party cookieもある

それでは今度は、いわゆる「媒体タグ」での計測ではどうでしょうか?

これは実は媒体によって変わるのですが、現在の日本における主要媒体はおおむね「LPのドメインと同じドメイン」つまり「広告主サイトのドメイン」の「1st party cookie」になっています。これはいわゆるITPへの対応として各社がCookie発行の方法を切り替えていったわけなのですが、すべての媒体で切り替えているというわけでもないので、ちょっと注意は必要です。

さらに言うと媒体タグの場合でもGAやAdEbisと同じ1st party cookieですが、ITP影響下ではやはりCookieの有効期限は違います。これ、三つとも全部Cookieの有効期限変わってしまうんですね。

広告配信で使われるCookie:1st party cookieもあれば3rd party cookieもある

そして今度は計測ではなく配信時のCookieです。

しばしば巷で言われる間違った理解としてあるのが「広告配信では3rd party cookieが使われている」という言い回しです。もちろんすべてが間違いではないのですが、すべての媒体での配信が3rd party cookieというわけではありません。広告媒体側のドメインから発行された1st party cookieで配信がなされることもあります。

確かにITPによる3rd party cookie規制は、リターゲティング広告に大きな影響があることは事実ですが、例えば興味関心や行動ターゲティングといったものの場合、媒体によっては影響が比較的軽微であることがあります。

結論から言えば「ケースバイケース」なんですね。

基本だからちゃんと理解しておこう

さて「ケースバイケース」というのは実は結構難問です。ここまで読んだ勘のいい方は「じゃ自分のクライアントの今の配信ってどれだけどういう影響があるの?」と思われたでしょう。

答えは「詳細を聞かないと誰もわからない」というのが答えです。無論リタゲは影響をうけますし、計測についてもおおむね影響を受けているでしょう。ただ、その影響の度合いが「無視できるレベル」なのか「注意をしておくべきレベル」なのか「大きな影響を受けているレベル」なのかは、実際に実施しているメニューや配信されているデバイスの状況などを見なければ何も言えません。

とっても怖いことなのですが「Google AnalyticsのCookieは3rd party cookieだから使えない!」と言っていた先述のYoutube動画、はっきり言えば「嘘」でしかありません。でも怖いのはここからなんです。「分かりやすい言葉」はたとえ「嘘」であっても人々の頭に残ってしまいます。「難しいけど正しいこと」というのはかなりしばしば無視されてしまうのです。つまり「理解しやすい言葉」による「嘘」が広まってしまうと「正しい情報」というのはなかなか届きません。その結果「間違った情報」による被害が拡大してしまいます。

弊社としてもできるだけ積極的に情報発信をすることで、なんとか「小難しい正しい情報」を「できるだけわかりやすく」お届けできるよう今後とも精進をしようと決意をしたのでありました。

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