自治体シティプロモーションはデジタルで加速する!/栃木県真岡市シティプロモーション係の事例

自治体シティプロモーションはデジタルで加速する:栃木県真岡市のデジタルマーケティング戦略に迫る

自治体シティプロモーションにおいてデジタルマーケティングの活用は必要不可欠になりました。今回sembear合同会社は栃木県真岡市様の「関係人口拡大に係るシティプロモーション」におけるデジタルマーケティングについて戦略立案から施策の実行に至るまでの支援業務を担当しました。その取り組みについて、真岡市シティプロモーション係の小池様、佐々木様へのインタビューを実施いたしましたので、是非ご覧ください!

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目次

「いちご王国栃木の首都もおか」を宣言した栃木県真岡市シティプロモーション係のマーケティング戦略に迫る

sembear合同会社では2022年から栃木県真岡市の、「関係人口拡大のためのデジタルマーケティング支援」事業で、戦略構築・研修・プロモーションのアドバイザイリーを実施しています。

12月16日、市長が「いちご王国栃木の首都もおか」を宣言した真岡市。このマーケティング戦略について、真岡市秘書広報課シティプロモーション係の小池さん、佐々木さんにお話を伺いました。

「選ばれる都市(まち)」を目指すシティプロモーションとマーケティング戦略

―――「いちご王国栃木の首都」宣言について、とうとう発表の日を迎えたこと、おめでとうございます。栃木県はいちご王国として名高いですが、その中でもあえて今「いちご王国栃木の首都」を宣言された背景を教えてください。

小 池:真岡市は、いちご生産量において「日本一」という冠はもともとあったんですよ。ただ「日本一」って言い始めて5年ぐらい。その前から当然「日本一」ですけど、言わなくてもみんな知っているぐらいの考えがありました。わざわざ言う必要ない、みんな知っているからって。

そして栃木県がいちご王国ということで様々なイベントをやったり、知事が王様になったり、そういうプロモーションをあれだけやっている。栃木の中でも真岡は一番のいちご生産量ということで栃木県と一緒にプロモーションすることで、市外への認知度を高めたいと考えていました。

いちごのパックにひらがなで「もおか」と入ってはいるのですが、あれだと小さくて栃木県にあることすら、なかなか認知度が上がってこなかった。そこで、今回発表の「いちご王国栃木の首都もおか」の宣言とロゴを使うことで、日本一の真岡市を、首都圏にもっと認知される取り組みができればと。認知度を上げたうえで、イベントに来てもらったり、観光とも絡めたりしていければなと考えています。

―――シティプロモーションの方針として、もともとあった「日本一のいちご」という冠を改めて真岡市のマーケティング戦略としてフォーカスする過程に携わることができ、弊社としてはうれしい限りです。

小 池:市外へのアピールに加えて、市民の方に向けたメッセージとして「日本一のいちごのまち」を改めて伝えたいと思っています。市内向けにも市外向けにも両方バランス良く、真岡の良さを知ってもらおうと思っています。

真岡市としては選ばれる街になるという大きな将来像があり、そこに向かっていろいろな施策に取り組んでいます。ただ、選ばれる街になるためには市外に対する魅力の発信も必要だけれど、やっぱり市民に「真岡いいな」と思ってもらわないといけない。やっぱり真岡っていいよね、って思ってもらうための一つの切り口として「いちご王国栃木の首都もおか」を伝えたいですね。

―――「選ばれる都市(まち)」になるためのシティプロモーションの取り組みということですね!

小 池:シティプロモーションの最終的な目的は、移住者やUターン者を増やすことですが、そのためには移住やUターンの場面で真岡が少なくとも選択肢に入っている必要があります。

真岡市シティプロモーション係:小池様
真岡市シティプロモーション係 小池さん

シティプロモーションを通して市の魅力を市民に知ってもらうことの大切さ

―――市外だけじゃなく市民に向けてのマーケティングの意味でも、首都宣言をされたということですね。市民のなかでもターゲットとなる世代などありますか。

小 池:子どもが進学・就職するタイミングで、親が子どもに「真岡は良いとこだよ」って一言伝えるかどうかって、非常に影響力が大きいと思うんですよ。つまり真岡市民の大人世代に、「真岡市って良いとこだよね」って思ってもらわないと、子どもの(将来住む場所の)選択肢に入らない。

今までも学生へ向けての魅力発信をしてきましたが、大人に対する発信は足りていなかったように思います。そこで大人世代へ真岡の魅力を発信し、子どもが進学・就職するタイミングで「真岡に帰ってくるのもいいんじゃない?」という一言が出てくるようにしていきたいと考えたときに、それってやっぱり真岡がそういうところになっていないと、親はそんな言葉が出てこないと思うんですよ。

都会に勝てないものっていっぱいあるけど真岡だからこそ都会に勝てる部分もある。ただ伝えきれてない部分もたくさんあると思うので、もっと大人世代にも知ってもらって、真岡っていい街と感じてもらえるようにしたいと思います。

―――ところで、真岡の魅力といえば、「いちご王国栃木の首都」だからこそ、やっぱりいちごだと思います。他のいちごとの大きな違いって何ですか?

佐々木:コンデンスミルクなど何もつけないで、いちごだけで美味しい。面白いぐらいに生産者さんによっていちご(の味)がそれぞれ違うので、生産者さんを見て今度はこの人のいちごを買ってみようという楽しみ方もできますね。

道の駅やスーパーより、いちご狩りに勝るものはない。感動しますよ。ぜひ多くの方にいちご狩りに来て、いちご狩りで食べる完熟いちごのおいしさを知って欲しいです。いちご狩りのいちごは全く別物です。コンデンスミルク使うなんてもったいないって思えるくらい甘いです。

真岡市シティプロモーション係:佐々木様
真岡市シティプロモーション係 佐々木さん

デジタルマーケティングもDX

―――真岡市は「DX自治体アワード」を受賞するなどデジタルをかなり活用されている印象があります。どうしてデジタルに強い自治体になれたのですか。

小 池:去年から自治体もDXをやりましょうという機運が高まっていて、その流れで情報政策課(現デジタル戦略課)で真岡市DX戦略計画を作りました。自治体のDXの目的は、デジタルという手段を使ってどうやって市民の利便性を改善できるかなど、組織の変革を進めることだと思いますが、どうしても事務処理が楽になるなどのシステム化をイメージされる方が多い現実があり、手段を目的にしてしまう傾向があります。

まずはDXの意識改革…手段のシステム化ではなく、どうやって市民に利便性をよくしてもらうのかという目的のDXにしようという意識改革をおこなっていきました。

そのDX戦略部分を評価されて、「DX自治体アワード」という賞をいただきました。それをきっかけに、今年はありがたいことに全国から視察が来ていると聞いています。

真岡市シティプロモーション係のお二人

sembear合同会社と取り組むシティプロモーション

―――真岡市は弊社sembear合同会社とプロモーションに関するデジタルマーケティングに力を入れていらっしゃいます。なぜデジタルマーケティングに取り組もうと思ったのですか

小 池:きっかけは栃木県庁でのsembear合同会社さんの研修でマーケティングについて知り、これはやらなければならないなと思ったことです。自治体もこういうことをしていかなければいけない、しっかりマーケティングの考え方をもたないと真岡市は選ばれる街にならない、(移住・定住先として)選択肢にあがらない、という危機感を持ちました。もうマーケティングに取り組んでいる自治体もあり、そういった意味でも意識を大きく変えさせられました。

職員はターゲットにきちんと情報が届いているつもりでも、本当にターゲットに情報が届いているか、ターゲット側に立って見直したり、検証したりすることはなかったので、デジタルマーケティングの考え方は衝撃でした。

―――弊社の研修を受けていただきありがとうございます。デジタルマーケティングに取り組み始めて、メリットはありますか?

小 池:今までやってきた業務(移住定住促進)について、移住者って本当に何年後になるかわからない。何かしらの施策・取り組みをやった結果、5年先移住の取り組みが、こうなりましたってつながりが見えない。数字で見られるものといえばイベントに何人来ました、YouTubeで何人視聴がありましたくらいで、何が悪かったのか良かったのか分からない。数値で見られない部分が多いのでPDCAが回っていないし、そこから先どうなのか答えようがないんです。

これがデジタルに移行することで、すごく見えるようになりました。施策を変えて、駄目だったらこうしようというのができ、結果も数値で見えてくる。雲をつかむようなシティプロモーションの業務のなかでは、数値として努力の成果を見られるものにもなるし、結果が出たならもっとこうしてみようという自身のモチベーションにつながります。

結果が悪くても、数値を見て改善し続ければ結果が出るのがわかるから、頑張れるじゃないですか。メリットしかないかなと感じています。

公務員の仕事ってあんまり数字化されないし目標も立てられないことが多いんです。数値的な高い目標をつけてそこに向かってっていうのは、公務員の中でも何か新しい仕事の仕方という気がします。

―――自治体において、デジタルを推し進めるのはかなり大変だと思うのですが、苦労したことなどありますか。

小 池:デジタルへのシフトは、どうしても一定期間負担が増える部分があります。デジタルツールを使いこなすためのノウハウを習得したり、考え方を変えたりすることは、今は確かに大変かもしれないけれど、それを続ければ楽になる、それがデジタルだと思うんです。それでも急に意識は変わらないので、デジタル改革はやり続けなければいけないと思っています。

デジタルマーケティングも一緒で、職員はちゃんと情報を発信している「つもり」でも、実際には情報が伝わっていない。職員が伝えたいと思っている情報と市民が知りたい情報に格差があることを認識できていない部分があります。職員一人一人がこういうことを意識して情報発信ができるようになるには、まず意識改革が必要だと思います。

―――結果を数値で見られるのはデジタルの良いところではあると思います。数値を可視化するために、sembear合同会社としてダッシュボードの構築をさせていただきました。実際どういう数値を見ていきましたか?

佐々木:いろいろあると思うんですけど、公式Instagramとか、ふるさと納税特設サイト、ふるさと納税返礼品をPRするっていう点でデジタル広告を打ったりするところの数値を見ています。

分析はsembear合同会社さんのダッシュボード化ツールTapclicks(タップクリックス)を使って、グラフなどでインプレッションとかエンゲージメントとか、どこまで波及性や影響があったのかというのを見ていたり、ふるさと納税特設サイトに関してはどういうキーワード検索されて来訪しているかというのを知ることができたりしたので、それがすごく面白いなと思って見ています。

あとはヒートマップツールであるラッキーオレンジ。ここはクリックされて、ここはすごく集中して見られて、など視覚的にわかる。実は「いちごの品種の箇所」が見られているなど想定していないところが見られていて、デジタルを使わないと絶対分からない見えないところなので、目に見えてわかるのは面白いなと。

小 池:こういうのもデジタルでできないかなとか、考え方も変わりますね。こうだろうという仮説を立て、やってみて、結果が出て、今回はこうだったから次こうしようっていう、PDCAの考え方も自然になっていくし、やっぱり何より面白いです。

シティプロモーションにおけるダッシュボード活用
▲Tapclicks使用イメージ(数値はサンプルです)

―――webサイトの中で、想定外のものがユーザーに見られていることに気づき、ページ改善に繋げることができるのはデジタルマーケティングならではですね。数値をそのまま見るのではなく、グラフなどのダッシュボード化することのメリットって何かありますか?

小 池:私は来年度予算の検討の際に広告前と、広告後のふるさと納税特設サイトの数値について、ダッシュボードのグラフをそのまま見せました。結果が数字で出てきても、数値だけだとそれだけで終わってしまうと思っています。

数値が出て、それがどうなのって分析するまでって、やっぱりグラフ等で出して可視化されていればこそすぐ分かる。やっぱりグラフで出たり、視覚化できたりっていうのはすごく大きいです。どうしてもデジタルって、わからないが故に予算とかをつけにくい部分があります。

だから納得してもらい数字を使ってこれをやると、こういうふうに結果が見ることができるのでやっていきましょう、というときには、可視化されたTapclicksのダッシュボードをかなり使わせてもらっています。来年度もTapclicksを使いたいので、端末を持っていって、もうあちこちに布教のように見せて回っています。(笑)

―――たくさん使っていただきありがとうございます!最後に今後の意気込みをお願いいたします。

佐々木:真岡市は日本で1番いちごを作っているけど、それがまだまだ市内や市外の方々に知れ渡っていないと思います。今後、日本一の真岡市が栃木県にあるんだよ、日本で1番いちごを作っているんだよというのが、今までは情報発信が行き届かなかった日本全国の人々に行き渡るように、デジタルマーケティングをもっと活用してPRに全力を注いでいきたいです。

小 池:本当に佐々木さんの言った通りで、私個人的にはなってしまうかもしれないのですけど、デジタルマーケティングを活用するというのもありますが、もっと裾野を広げたいなぁと思っています。デジタルマーケティングの考え方を知ったり、研修を受けたりするだけでも考え方がガラッと変わります。

SNSに対する意識やホームページに対する意識においても、市民のためのSNS、市民のためのホームページというように、考え方が変わっていくんじゃないかと思っています。まずは結果を出すことで、やっぱりデジタルだよねっていうのを職員に思ってもらって、デジタルを推進していきたいと思います。

真岡市シティプロモーション係のお二人

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