sembearが見た自治体シティプロモーション / 栃木県真岡市「いちご王国栃木の首都もおか」のデジタル推進の裏側

「いちご王国栃木の首都もおか」宣言から始まる栃木県真岡市のデジタルマーケティング。今回は真岡市のデジタルマーケティングにおけるマーケティング戦略」について解説します!

目次

栃木県真岡市と取り組む、関係人口拡大のための「いちご王国栃木の首都もおか」から始まるデジタルマーケティング

みなさんこんにちは。sembearです。今回は先日発表のあった、栃木県真岡市さんと取り組んだ「いちご王国栃木の首都もおか」宣言の裏側を、デジタルマーケティング戦略の観点から見ていこうと思います。

真岡市さんの「真岡市関係人口拡大におけるデジタルマーケティング支援」の中で、弊社ではまず、シティプロモーションのマーケティング戦略と態度変容を定義する取り組みから始めました。

そう、このとき私の脳裏によぎったのは「骨太案件だな」ということ。これはプロポーザルが通ったときからもちろん感じていましたが、本当に戦略から戦術を構築していく骨太なデジタルマーケティングです。(単純にこの広告どうする?とかの話ではないという意味)

ところで、骨太なデジタルマーケティングってなんですか?

いい質問ですね。「デジタルマーケティングの支援」ということでご相談頂くとよくあるのが、「この動画どう思いますか?」とか「この広告の配信これでいいですか?」というご相談だったりするのですが、これはですね「戦術・施策」のお話です。

その前に、何を目指すの?という戦略と、それを実現するための一本筋の通ったストーリー(=コンセプト)が本来、必要です。その時に、「誰に何をいうのか?」を設定することで、ターゲットと価値の訴求が明確になります。

ここがあって初めて、関係者同士で「それならこの動画はもっとこうしたほうがいいですね」とか「今回の広告はこうしたほうがいいですね」というお話しができるのです。

ちょっと、「自己紹介」を考えてみてください。

a) 私は、真面目な人間です!本も読みます!コーヒーも飲みます!旅行にいくなら南の島です!のんびり屋です!

と言ったとしたら、なんとなく特徴が捉えにくくないですか?「真面目なの?なんか元気な感じなの?」って捉えどころがない感じ。それを例えば、

b) 私は、真面目な人間です。毎月5冊本を読むのですが、読書をしながらゆっくりとコーヒーを飲む時間が好きです。仕事や日常の開放感を求めて旅行は南の島に行くのが好きです。

としたらどうですか?人物像が浮かんでくるのではないでしょうか。さて、これはなぜなのでしょうか?

a)は「私という人物」の特徴をただただ羅列したケース。b)は「私という人物」を「真面目な人間である」ことを伝えようという戦略&コンセプトで作ってみた場合です。

b)のように「真面目な人間である」ことを伝えるという戦略&コンセプトがあるからこそ、それをどう伝えるといいか?という視点で、それならもっとこういう情報を出しましょうという議論ができるわけなんですね。

「骨太なデジタルマーケティング」とはここの戦略&コンセプトの策定から展開していくことを指しています。

シティプロモーションを導く、骨太な「関係人口の拡大におけるデジタルマーケティング」に向けて

さて関係人口の拡大に取り組まれている自治体さんも多いと思いますが、改めてもう少し「関係人口の拡大」を段階をつけて考えてみると、

(1)「関心層の創出」まずは土地に対して無関心な人に知ってもらい関心をもってもらう

(2)「ファン層の創出」一度関わりを持った方が、さらに何度か関わりを持ち好きになる

(3)「移住定住者の創出」繰り返し関わりをもったり、評判を聞いたりして、移住者に繋げる

という風に考えることができます。

自治体のシティプロモーション関係人口の拡大
出典元:総務省のWEBサイトより

さらに(1)〜(3)を自治体における主な施策に整理してみると・・

(1)ふるさと納税、特産品

(2)観光、ふるさと納税・特産品購入のリピート

(3)移住定住施策・シビックプライドの醸成

などがあげられますが、担当している課や担当者さんは違うこともありますよね。これは一般企業でも同じで、ブランドが別だったり施策の部署が違うことも大いにあります。

ただ、ここで(1)〜(3)の施策を各担当が自由にそれぞれ実施してしまうと戦力分散となってしまいます。戦力を集中させるには、(1)〜(3)を横断で実施するためのマーケティング戦略とそのコンセプトが必要になります。(戦力分散の愚はおかしてはならぬ、ですね・・・!)

私はマーケティングは「横断する」力だと思っています。いろいろな部署の動きを連動させるために整えたり調整したりすることも、マーケティングを推進していく上ではとても大事です。本当に本当に(切実)

どう考えてもやっぱり真岡はいちごだよ、から生まれた「マーケティングコンセプト」

3C分析やこれまで実施してきた施策を「資産」と捉えると、真岡市はいちご生産トップクラスの「いちご王国栃木県」の中でも生産量トップなんです。これがやっぱりこれまで積み重ねてきた「資産」だと思ったわけなんです。「トップオブトップ」ということをまずはどの施策でも連動させて、市内外にもっともっとアピールしていこうという話になりました。

そして、このアイディアを提案した後の真岡市さん側の動きはすごかったです・・・!速さとまとめ力が半端なかったです。(凄腕のシティプロのお二人のインタビューはこちらから)

まず、このアイディアから若手職員さんが集まる議題でコンセプトは「いちご王国栃木の首都もおか」でいこうと決定し、今後の施策がその都度変わらないようにとシティプロモーションの指針に練り込み、まさに「横断して進める」という体制を作り上げました。

デジタルマーケティングコンセプト

あとは、マーケティング施策で「具体的に何をやるのか?」の段階です。

「いちご王国栃木の首都もおか」を軸とした施策3つは下記。

(1)ふるさと納税、特産品:注力プロダクトは、いちごからぶらさない。真岡のいちごのクオリティを特設サイト・公式SNS・広告で表現

(2)シティプロモーションサイトのリニューアルにむけて、真岡いちごを中心にコンテンツ拡充を進行中

(3)市内へも「いちご日本一の街もおか」のイメージアップや、市外向けにも就農でいちご農家を始めようというコンテンツを準備中

そして、このマーケティング戦略を貫く横断したコンセプトと同時に大事にしているのが、「データを横断して貯める」ことです。

横断したデジタルマーケティングの取り組みを実現するのは計測環境を整えること

現在取り組んでいる(1)の特産品・ふるさと納税に関するデジタルマーケティングの数値は、

  • 特設WEBサイトのデータ
  • 公式Instagramのデータ
  • Google、Yahoo!、Instagram広告のデータ
  • ふるさと納税ポータルサイトのデータ

これらの数値を、TapClicks(タップクリックス)というダッシュボードツールで、全てグラフ化・数値化しています。

※数値はサンプルです 

実は、この画面だけでも4つのデータ元をまとめています。一目でわかりやすく、レポートの更新の手間も省いて時間を、よりクリエイティブに使って頂けるように貢献したいと思っています。

sembearが目指したい人材育成フェーズ:「自走:Do」

定例のお打ち合わせでは、一緒にダッシュボードを使って数値を確認していっているのですが、施策の進捗はもちろんのこと、やはり数字からわかる事実を元にするので、これからこういうことやるといいかもね!のアイディアも生まれてきます。

『この訴求がうまくいっていそうだから、シティプロモーションでリニューアルするWEBサイトのコンテンツに活かそう!』

だったり、

『今度、この話題をInstagramで投稿してみよう!』

だったり。

デジタルマーケティングで数値やデータが大切なのは、やはりチームで同じ方向を見てアイディア・仮説を作り推進する環境を作っていくことにあると思います。

そして、こういうチームが作っていけると、私たちが目指している「デジタルマーケティング人材の育成」がかなってくると信じていますし、自走した組織になっていけるのだと思います。

sembear合同会社では、各フェーズに合わせてデジタルマーケティング人材育成を元にしたサポートをしています。研修・デジタルマーケティングアドバイザリー・ダッシュボード構築など、これまでの事例を元にお話しできますので、お気軽にご相談ください。