自治体のデジタル人材育成研修で大切な三つのポイント

自治体のデジタル人材育成で大切なこと

地方自治体でのデジタル研修

弊社、sembear(エスイーエムベア)合同会社は「デジタルマーケティングの人材育成」の会社でもあり「地方自治体向けデジタル支援」を提供している会社でもあるわけです。したがって「地方自治体さん向けのデジタルマーケティング研修」であったり「自治体職員さん向けGoogle Analytics研修」だったり「自治体職員さん向けSNS活用研修」といったような「地方自治体さん向けのデジタル研修」を様々ご提供しています。

昨年一年間だけでもいろいろな自治体で研修をさせていただきましたが、その中で気付いた「自治体におけるデジタル研修」で特に注意したいポイントをご紹介します。これから研修に取り組もうと考えている自治体のご担当者様の参考となりましたら幸いです!

自治体向けデジタル研修で大切なこと(1):目的を明確に

自治体職員さん向けの研修でまず最重要ともいえることが「研修の目的」を明確にすることです。無論自治体さん向けでなくとも「研修の目的を明確にする」ことは効果的な研修を実施する上で大切なことではあるのですが、一般企業と自治体職員さん向けで考えると、自治体さん向け研修のほうが「目的」をしっかり落とし込むことが必要になります。

一般企業向けや広告代理店さん向けの研修の場合「デジタルマーケティング」はかなり身近な存在ですし、すでに実践している方も多くいることが多いので、講師である弊社が説明していることを「自分の業務」に落とし込むことは決して難しくありません。ただ、自治体さん向け研修の場合は、必ずしも全職員が実践しているわけではないため、集合型研修の場合個人の経験差が一般企業よりも大きい傾向があります。

その上で、さらに問題を難しくしているのが「異動」という制度です。これは一般企業でもある話ではあるのですが、自治体職員さんの場合、異動が民間企業よりも頻繁であることが珍しくなく、様々な事業に携わることが多くなります。

そうなると「去年まで全くデジタルに関わらなかった職員さん」が今年いきなり担当になることも多く、その時にしっかり業務が遂行できるように「自分が取り組んだことがない業務でも自分のことのように考えられる」という資料に仕立て上げる必要が出てくるわけです。

弊社で研修を実施する際にも実は自治体さん向けの研修では資料の横展開はほとんどありません。これは研修資料として自治体職員さんに「自分のこと」のようにとらえてもらうためにも、その自治体特有の土地柄、人口構成、経済動向などを踏まえたカスタマイズ項目が非常に多いことが理由となっています。

自治体向けデジタル研修で大切なこと(2):重要な点を様々な角度から説明する

これも自治体職員さん向けのデジタル研修として、弊社が大切にしている点です。

分かりやすいように一つ例を出しましょう。「市のホームページにページを掲載する時には市民目線で書きましょう」というのは非常にシンプルな内容です。市のホームページで行政用語が多用されるだけで、市民の方はページ閲覧を途中でやめてしまいますし、そもそも検索に引っ掛かりません。

もちろん研修の中では実際に市民目線で書かれたページなどを紹介するのですが、この時にできるだけ複数の課を例題に説明をするように説明し、できるだけ多くの職員さんがイメージしやすいように落とし込むことが重要なんですね。

もちろんこれは上に書いた「異動」の話もあるのですが、何より重要なのは自治体ホームページで発信される情報の幅の広さにできるだけ対応するためです。

民間企業の場合、情報発信やサイトの活用において、情報発信の幅はサービスの紹介や商品の説明など、実はそこまで情報の幅が広いわけではありません。しかし自治体ホームページは子育てから住民票の取得、プロポーザルの情報や観光情報など、本当に幅広い情報が掲載されています。

となると「市民目線で」という一言の中に本当に多くの「場合分け」が含まれることになり、一人一人の職員さんが研修の内容をしっかり理解するための「切り口」をいくつも持っておかないといけなくなるわけです。

自治体向けデジタル研修で大切なこと(3):できるだけ全部網羅する

そして最後のポイントですが、実はここが最も大変なところです。

「自治体職員さん向けGoogle Analytics研修」や「自治体職員さん向けTwitter研修」などのようにテーマが限定されているものであればそこまで気にしなくてもいいのですが「地方自治体向けデジタルマーケティング研修」などの場合、弊社としてはできるだけ「すべての項目」を網羅するように心がけています。したがってボリュームも膨大なものになりますし、受講される側もかなり労力がかかるものになりがちです。

なぜそこまでのボリュームが必要なのか、というと、これは自治体特有の「プロポーザル」とそのための「仕様書」という制度があるからです。

民間企業のデジタルマーケティングの取り組みは、広告代理店からの提案を受けて進むことも多くありますし、広告主側と広告代理店側の関係性としても非常に柔軟に取り組むことが出来ます。当初予定されていた仕様から変わってもそこまで問題ないことも多いわけです。しかし自治体の場合、広告代理店からの提案を受けるためには「事業」として予算が確保され「仕様書」に則った提案を複数社から受けることになります。

となるとまず「どのようなデジタルマーケティングの事業を行うべきか」という事業の設計のための知識、そしてその事業について「どのような提案を聞きたいか」を整理した仕様書を作り、「実際喉の提案が良いのか」を判断するプロポーザルを実施することになるわけですが、これらの業務について基本的に自治体職員さんだけの知識で作らねばなりません。

弊社の研修でも「とりあえず動画やろう!という事業の決め方は絶対NGですよ!」と繰り返し説明している通り、マーケティングとして効果のある「事業」を作るための知識から、その事業を実際に実施するための仕様を定義するための知識、そしてその定義に則った提案の是非を判断する知識と考え方など、実は民間企業の担当はよりも地方自治体の職員さんのほうが「必要とするデジタルマーケティングの知識量」は非常に多いのです。

これはいささか自画自賛ですが、日本の大手広告代理店様に対して研修を実施している弊社だからこそ、ここまで幅の広い研修を提供できている自負はあります。ただ弊社をもってしてもこの「すべてを網羅する」ことはなかなか大変であることもまた事実です。

地方自治体のデジタルスキルをビルドアップ!

というわけで今回は「地方自治体におけるデジタル研修」について、弊社のリアルな体験談と重要な三つのポイントを書いてみました。もしご興味やご相談がありましたら、以下のフォームよりぜひお問い合わせください!