デジタルマーケティングの人材育成における「知識」と「意識」

デジタルマーケティングにおける知識と意識

目次

「分かった気になる」ことの大切さと危うさ

デジタルマーケティングに限らずですが「人材を育成」においては、育成対象者が「できそうだ」という意識を身に着けることが非常に重要です。「自分でもできる(かもしれない)」というマインド、言い換えれば「(根拠がないものも含めた)自信」がない状況では、取り組むことそのものに及び腰になり、スキルも身につきません。

そういう意味では「分かった気になる」ことは実は必ずしも悪いことではありません。「(根拠がないものも含めた)自信」が無ければ最初の一歩も踏み出せないわけですから。「分かった気」になることで実践に取り組み、そしてその実践で「分かった気になっていた」ことを反省しながら成長してくサイクルを早く作り上げることが成長を促します。つまりある程度の「分かった気になる」ことを許容したうえで「失敗して反省」をすることが許される環境が求められるわけです。

プレッシャーを受けながらアウトプットをする重要性

上記をも踏まえて、弊社が長年提供しているOne on One研修でも重要視している点なのですが、自分に自信をつけるためには、そしてその自信をより根拠がある「本物の自信」に鍛え上げていくには「プレッシャー」がかかった状況でアウトプットをすることが重要である、と考えています。

これはこのBlogを読んでいただいている人はある程度ご理解いただけると思うのですが「分かった気になっている」状況はどれだけ働いていても起こりえます。ただ「分かった気になっていたな」と反省するためには、一度しっかりアウトプットをする必要があります。どれだけ座学で勉強をしても、自分の言葉で相手に理解させるための資料作り、そしてその説明というプロセスを経ることで「分かっていないところ」がより具体的にわかるわけです。

そしてそのプロセスは「なあなあ」の関係者にアウトプットをしても意味がありません。ある程度緊張感を持てる第三者に対するアウトプットでなければ「ふんわり」としたニュアンスでの説明で逃げられることもあるわけです。したがって弊社のOne on One研修やグループワークなどではかなりシビアなアウトプットを求めるようにしています。

「知識」と「意識」は二つで一つ

したがって「人材育成」においては「自分が出来そうだ」という「意識」を常に持ちつつ、その結果を反省して「知識」を身に着けるサイクルが必要になります。「知識」と「意識」は二つセットなんですね。

弊社が集合型であれワークショップであれOne on Oneであれ、常に意識しているのは「知識」を伝えるだけの研修ではなく「意識」を確立することにつながる研修をお届けすることです。実際に弊社の研修を導入いただいた会社様がほぼ長年にわたりご継続いただいている現状を踏まえると、おそらくこのアプローチは間違っていないとも思います。

特に業界未経験の人材を育成する時、前職の経験や考え方は「意識」にも「知識」にも影響を与えます。こういった方々をより早く戦力化する上では「アウトプット」の機会を意図的に増やすことで、その育成対象者の「意識」と「知識」の現状をより正確に把握することが可能になります。そこで把握した「知識」と「意識」の現状から、どのような指導が必要かを検討することで、より成長速度を速める支援ができるわけです。

そういう意味でポイントになるのは「どのような指導が必要か」を見極められるかどうかではないかと思いますが、個人的には大きく三つのポイントが挙げられると考えています

知識の粒度の精緻さ

個人的に研修で非常に重視している点が「知識の粒度」です。わかりやすく例えれば「GA4がわかりません!」という言葉では「何がわからないのか」が相手に伝わりません。これを「GA4でLPごとにセッションとCVを見る方法がわかりません」と書き換えることで、本当の課題がわかります。

つまり「知識の粒度」が粗い人は「言語化」ができないわけです。これは実は営業職にとって非常に重要なポイントになります。というのは現在のデジタルマーケティングにおいては「営業職」がしっかり言語化出来なければ、全体のディレクションが困難であるからです。

まずアウトプットをする資料やその説明の中で「粒度が粗い」ところを見つけることで、どの領域の知識が粗いかを推測することが可能です。

相手のリテラシーに合わせた説明

弊社が提供する研修では「新卒一年目の人に説明する資料」であったり「ネット広告に詳しくないクライアントに説明する資料」というようなテーマで課題を出すことがあります。これは「社内用語」を使わずに人に説明することを意識させるためなのですが、これができない方は実はかなり多くいらっしゃいます。

実はクライアントにプレゼンをしても内容は全く伝わっておらず、それでも雰囲気で進められていると、自信の説明能力のブラッシュアップ機会はほぼありません。したがって「誰に説明するのか」というところを課題に含めることで知識の定着だけではなく、その知識を適切に活用できるか否かを見抜くことが可能です。

局所と大局の見極め

これも非常に多いのですが、局所的な課題、例えばリスティングのとあるキャンペーンのとある広告グループのPDCAというフォーカスが狭い領域で仕事ができることと、マーケティングの大局観を見たうえで課題解決に取り組めることは大きく違います。そして前者だけだと「目先の運用」になりがちですし、後者だけだと「机上の空論」に陥りがちです。

アウトプットをさせる際には常にこの「局所」と「大局」を行き来しながら課題を出し、どちらの視点も身に着けることを意識させることが重要になります。

人材育成にゴールはない

デジタルマーケティング・ネット広告業界はトレンドの移り変わりが早く、そういう意味では「知識」の劣化が起こりやすい業界です。それを防ぐためには「意識」をしっかり持って新しい情報にキャッチアップしていく努力が必要になります。そういう意味では弊社自身も学び続けなければなりませんし、弊社自身も常に意識を高く持ち続けなければなりません。

弊社の研修を導入いただいている広告代理店様や地方自治体様からのフィードバックを見ても「デジタルマーケティングを学ぶことに終わりはない」というコメントをいただくことが非常に多くあります。その「学び」をより実践的に支援し、そして皆さんの成長と成功をサポートできるよう、今後も研修コンテンツを磨いていこうと考えております。

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