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広告代理店の人材育成における一般的な研修種別
このBlogをお読みの方であればある程度想像がつくかと思うのですが、広告代理店の人材育成は多少の差異こそあれども、おおよそ以下のようなプロセスが一般的です。
1. Eラーニング
まず最初に、おそらく入社早々からデジタルマーケティングの基本的な知識、また実際の管理画面の操作方法などを学ぶため、Eラーニングにより、それぞれで学習を進めることがあると思います。これは特に業務に必要なツールの操作方法、そのツールの操作に必要となる用語の理解などを進める効果が高く、業務の入り口として非常に効果的です。
またEラーニングは特に時間的な拘束をアレンジする必要がないこと、そして社内外にかかわらず講師の手配をする必要がないなど、現場への負荷も低いことも特徴の一つです。
2. 集合型研修(オンライン or オフライン)
上のEラーニングと時期的には同じタイミングであることもあるかと思いますが、講師を立てて集合型で研修を実施することも必要です。Eラーニングのように一人でコツコツ学ぶことは時間的に自分のペースで進められる利点は上記に書いた通りあることは事実です。しかし同時に学習のプロセスで抱いた疑問の解消や、孤独に陥りがちになることなどを踏まえると、集合型で研修をすることはより学習効果を高める上では依然として必要でしょう。
ただしこのスタイルは社内に適任者がいるかいないかという問題がありますし、多くの代理店においては適任者がいたとしてもどうしても通常業務があるため、実行上の負担が高いことは間違いありません。
3. OJT
そして最後はもちろんOJTです。これはおおよそ上記のプロセスがひと段落してから現場仕事を担当しつつ、先輩や上司から業務を教わることが多いかと思います。実際インターネット広告に限らず、業務遂行のノウハウは仕事をしながらでなければ「定着」は難しいですし、現場のリアルを知ることでメンタル面での成長も期待できます。
OJTはあらゆる仕事で必要ですが、ここで注意したいのはOJTを担当する先輩や上司の技量に大幅にその効果は左右される、ということです。業務が完全に型化されていればそこまでのばらつきは出ませんが、やはりここは指導能力にその効果が左右されることは間違いないでしょう。
広告代理店の人材育成における「三年目」の壁とは?
さて、ここまでは当たり前のことを書いていますが、ここで考えてほしいのが「一通りの研修が終わり、OJTも終わった後、一人で仕事を回せるようになった後」の状況です。目安としては三年目ぐらいを連想していただけるとおおむね当てはまると思います。
さて、弊社は広告代理店の人材育成、特にOne on One形式の研修をご提供していますが、その中でほぼすべての代理店さんのほぼすべての三年目程度の方がぶつかる壁があります。それは「成長が止まってしまう」という現象です。もう少し正確に言うと「できる仕事は増えたけれど、新たな学びが見つかりにくく、キャリアパスが迷走する」と言い換えてもよいかもしれません。
広告代理店向け人材育成会社から見る「三年目の壁」の理由
この「三年目の壁」は別に特定の代理店さんで起こっている話ではなく、弊社が聞く限りほぼすべての広告代理店で発生しているように思います。つまり単なる偶然の自称ではなく、おそらく何か共通の背景があると考えています。その理由について考えてみましょう。
まず一般的に言えば、これくらいの年次の方になると、デジタルマーケティングの世界が実は自分が思っていたよりも広く深いことを肌で感じるようになってきます。
特に広告代理店で働いていると、SEOやCRMなどの非広告領域、CDPやCMPなどのソリューション領域、戦略設計などの上流工程などなど、デジタルマーケティングという世界の広さがある種の刺激になる一方で、自分の普段の業務が広告に偏ってしまうため「自分はもっと学ばなければ」というプレッシャーを意識的・無意識的に感じてしまいます。また上記にある研修内容は、どうしても「即戦力育成」の人材を育成することに偏るため、新しい領域をどのように学ぶかがわからず「今の会社では先がない(キャリアを描けない)」という心境になる人も出てきます。
結果として前出のプレッシャーも含めた不安感による転職などが起こりやすくなります。
最初の三年間は目の前の仕事をこなすことで必死でしたし、ある意味、視野狭窄になりながらも目の前の仕事に全力で取り組んでいるので、上記のような不安感などは感じづらいです。言い換えればある程度仕事に慣れ、余裕が出てきたところで陥りがちな壁なんですね。
今の会社でもできることはある
そういう意味で弊社のOne on One研修を受けていただいた方のアンケート結果などを見ると「今の会社でもできることがあるとわかった」というコメントをいただくことがかなり頻繁にあります。そしてそれは弊社としても非常にうれしく思います。
弊社のOne on One研修では、受講者が担当している実案件をベースに研修を進めていくのですが、そこで今やっている広告施策だけに閉じない「デジタルマーケティング」としての改善を本人に強く意識させます。特に三年目以降のそれなりに経験を積んでいる方にはそういった課題(宿題)を出すことが非常に多くあります。この宿題にはマーケティングの上流工程もあればソリューション系、非広告系施策や最新のテクノロジーなど、受講者が「今の知識」ではわからないことを出題しています。
広告だけに閉じた課題を出すことも当然あります。ただそれは受講者にとっては日常業務の一環であり、人によっては日常業務の延長ですらありません。むしろ受講者の今後の成長を考えると、敢えて他の世界に手を出すような宿題にすることで、今の仕事の意味や意図の重要性を再認識させること、そしてその結果として「今の会社でもできることがある」と本人が認識することが、研修後の成長での最も重要なドライバーになると思っています。
「三年目の壁」を乗り越える人材育成研修
そういう意味で弊社のOne on One研修は上記にあるような「成長の踊り場」にある「日々の仕事が出来るようになってきた三年目」のような方々が受講することが本当に多くなりましたし、おそらく研修効果も非常に高いと考えております。同時に転職をするにせよ「今の会社でやりたいこと」と「他の会社でやりたいこと」を比較することが出来るため「現職から逃げる」だけの転職にならないことも、キャリアパスの中では非常に重要です。
ただ、同時にこの「三年目の壁」を乗り越えるためにもう一つ必要なことがあります。それは「ミドルクラスのリスキリング」です。これは該当する広告代理店と該当しない広告代理店があると思いますが、はっきり言えば「中堅社員の指導力を引き上げられるか」とお考え下さい。
もう10年以上One on One研修を続けていると、特定のマネージャー・部長の下のスタッフの成長速度が速い、ということがあります。上に書いたような「三年目の壁」の打破においては現場マネージャーであったりOJTを担う指導担当のマネジメント力、指導能力が低い状況では、研修による効果は如何してもカンフル剤的な、一過性の効果しか生まなくなります。
上記を踏まえ、現在弊社では「TTT(Train The Trainer:ミドルクラスの指導力向上研修)」プログラムを開発中なのですが、だんだんと形になってきたかとも思っています。何とか年内には皆様にお届けできるかと思います!ご興味のある方は以下のフォームよりご相談くださいませ!