自治体デジタルマーケティングのPDCAを高速化する「ダッシュボード」導入

地方自治体のPDCAサイクルを加速するダッシュボード導入

自治体のデジタルマーケティングに「ダッシュボード」は必要なのか?

結論から言えば、地方自治体に限らず行政組織のデジタルマーケティングにおいても、ダッシュボードは必要ですし、むしろ一般企業よりも重要性が高い、というのが弊社の結論となります。

というのも、自治体のデジタルマーケティングにおいて、ダッシュボードが導入されるか否かで「PDCAの速さ」が明確に変わるからです。これは弊社が受託者として広告なり広報支援を運用していた時には気づきませんでしたが、栃木県が全庁的にTapClicksを導入したことで、そのメリットが明確にわかるようになりました。

今回は自治体のデジタルマーケティングにおける「PDCA」について解説をしたいと思います。

自治体のデジタルマーケティングにおけるPDCAの課題

まずそもそも、地方自治体や行政組織におけるデジタルマーケティングは、多くの場合「年度単位」の契約になります。いわゆるプロポーザルなどで事業者(受託者)を選定して広告であったり集客施策を実施するわけですが、それがほぼ単年での契約になるわけです。そしてその単年での契約の結果、施策の結果は年度末である三月末にまとめて報告がなされます。

ところが、自治体における来年度の予算とは9月から10月にかけて策定をされます。したがって来年度の予算策定で使えるデータは昨年度、つまり2年前のデータが最新になってしまうのです。弊社の研修資料からの抜粋で恐縮ですが

地方自治体のデジタルマーケティングのサイクル

上記のように、せっかくデジタルマーケティングに取り組んでいても、リアルタイムの計測結果を確認していないことで、次年度の成功確率を自ら下げてしまうことにつながってしまうんですね。

栃木県での事例:栃木県はダッシュボードをどう使ったのか?

今年の四月に栃木県のデジタルマーケティングアドバイザーに着任して以来、弊社は「栃木県のデジタルマーケティング環境」の構築を進めてきました。現在栃木県では観光や移住など、様々な事業でデジタルマーケティングを活用していますが、その中でも主要な20事業について、ダッシュボードで本年度の数値は一定可視化をしており、次年度の事業計画立案で早速活用をしています。

ただ、これはダッシュボードを構築したからすべてがうまく回っているわけではありません。これ以外に「研修」と「目標設計」の二点も併せて準備したことも重要だったと思っています。

研修の重要性

今年の栃木県のデジタルマーケティング研修は様々なラインナップの研修を数回にわたって繰り返し実施しています。内容自体は多岐にわたるのですが、今年から導入したのが「広告指標基礎」と「インターネット技術基礎」の二点です。

ダッシュボードは「数字を見る」ものですが「何の数字を見るか」と「どうやってその数字を計測するか」はカバーしていません。栃木県デジタル戦略課の皆さんと実施したウェビナーでも話しましたが、栃木県デジタル戦略課の皆さんはGTMでイベントを自ら設定し、計測設定をすることが可能なレベルまで「何の数字を見るか」と「どうやってその数字を計測するか」がわかっていればこそ、ダッシュボードで「見るべき数字」を羅列することが出来るようになっています。

目標設計の重要性

しかしながら、いくらデジタル戦略課にゴールの設定・設計能力があったとしても、それが各事業課の目的を達成する数字でなければ意味がありません。栃木県での研修はデジタル戦略課の皆さんだけが対象ではなく、他の事業課の方も含めたものになっています。

特にデジタルマーケティング基礎研修ではゴールとKPIについて非常に時間をかけて説明をしていますし、上記にある広告指標基礎についても皆さん同様の研修を受けています。これにより各事業課が目指すべきゴールを設定することが出来るようになり、ダッシュボードによる数値共有がPDCAの推進を後押しする形になっています。

自治体のデジマケにおいてダッシュボードは必要不可欠

もう一つここで考えていただきたいのは「自治体の業務は基本的には何かしらのデジタル情報発信が伴うことが多い」ということです。市役所や町役場のページ作成一つとっても、そのページは住民の方に対する啓発やイベント情報の発信など、なにかしらのデジタル上での行動変容を促す目的があるはずです。

その時にページを見てもらえたか否か、ページがどのような言葉で検索に引っ掛かっているのか、SNSでの反響はどうなっているのか、など、やはりリアルタイムに数値を可視化することで、さらなる改善につなげられる取り組みが非常に多いことは言うまでもありません。言うなれば自治体のデジタルマーケティングダッシュボードは、ほとんどEBPMの一環であり、それ自体が「選ばれる自治体」になるために必要な取り組みであると言えるでしょう。

弊社が提供するTapClicksですが、自治体様向けには比較的低額の「アカウント提供」と全庁一括での可視化を実現する「インスタンス提供」の二種類で提供させていただいております。ご興味がある方はぜひ以下のフォームよりお問い合わせくださいませ!