シティプロモーションとは?「選ばれる自治体」への最初の一歩

シティプロモーションとは?

目次

改めて「シティプロモーション」の定義を考えてみましょう。シティプロモーションの定義については様々な団体が様々な言葉を用いて説明をしているのが現状ではあるものの、原則としては「地域・自治体の魅力を域内・域外の人々に向けて発信することで、地域・自治体の活性化を目指す取り組み」という定義として捉えてよいと思います。

参考:シティプロモーション自治体等連絡協議会

また、これはシティプロモーションの説明で必ず出てくるわけではないのですが「プロモーション」という言葉が示す通り、何かしらの営業活動、言い換えれば経済的な効果を目的とすることもしばしばあります。これはふるさと納税や移住定住なども直接的・間接的に関与すると考えておくとわかりやすいかもしれません。

それではもう少し具体的に「シティプロモーションとは何をするのか?」ということを考えてみましょう。これは自治体ごとに異なることは前提となりますが、弊社のお付き合いのある自治体様を見てみると、おおむねシティプロモーションの担当の方が関与する事業としては以下が挙げられるように思います。

  • ふるさと納税
  • 移住定住(の広報活動)
  • 観光誘客(の広報活動)
  • シビックプライド向上施策
  • 公民連携施策

もちろん上記全てを担っているシティプロモーションの担当者さんは決して多くはありませんが、だいたい上記の何かしらには関わることがほとんどだと思います。

ご覧いただいてお分かりの通り、これらの事業はある程度経済的な効果を狙った施策であることがお分かりいただけるかと思います。ふるさと納税は直接的に寄付金で収益となりますし、移住定住・観光誘客はその土地にお金を使ってくれる人を増やす取り組み、と言い換えることもできます。シビックプライドや公民連携は直接的な経済効果というと難しいものはありますが、地元の人々・企業との交流や連携から、地域経済の活性化に寄与する部分も少なくないはずです。つまりちょっとYoutubeでバズっただけで経済効果が判明していない取り組みを「シティプロモーションの成功事例」というのはいささか短絡的というべきかもしれません。

またシティプロモーションは様々な専門施策(ここでは移住施策や観光、ふるさと納税などの各事業を指します)を横ぐしでつなぎ、そして相乗効果を出していくための「司令塔」的な役割があるともいえるでしょう。それぞれの事業が独立してしまうと、ふるさと納税であれば「商品押し」、移住であれば「支援金押し」という「街の魅力」とは直接関係ない要素で事業を展開せざるを得ませんが、シティプロモーションという役割が機能をすることで「街の魅力」を通してふるさと納税や移住・定住の施策を推進することができるわけです。

そういう意味ではやはりシティプロモーションは一定の「経済活動」を狙ったものであるとは思いますが、それよりも重要なポイントは、これらの事業がすべて「選ばれる自治体」になるための取り組みである、ということです。

実際のところ、ほぼすべての日本国民は意識的にせよ無意識的にせよ日常的に地域・自治体を「選ぶ」という行為を繰り返しています。ふるさと納税であればふるさと納税ポータルサイトで寄付先になる自治体を「選ぶ」ことになりますし、どこか旅行に行こう、というときの旅行先の検討も地域を「選ぶ」という行為です。

移住定住に関して言えば沿ものもズバリ自治体を「選ぶ」という行為ですし、今住んでいる人が他の街に転出するのは(様々な理由があるにせよ)、他の自治体を「選んだ」結果であると言えるでしょう。

いわゆる少子高齢化・人口減少という問題の中で、もはや「存続可能性」すら危ぶまれている自治体が存在しています。これはもちろん人口の自然減が主な原因ではあるものの、転入から転出を差し引いた「社会減」による影響も決して小さくありません。

究極的には「選ばれる自治体」になるための営みであるシティプロモーションは、その自治体の持続可能な発展だけではなく、そもそもの存続にかかわる取り組みであると言い換えてもよいでしょう。

以上を踏まえて考えると、シティプロモーションの取り組みは「効果の可視化」が極めて重要であることがわかります。

ここで注意してほしいのは、ふるさと納税における寄付額、移住定住における相談件数や実際の移住者数、観光誘客であれば当然旅行者数などはあくまで「単なる結果」でしかありません。「効果の可視化」とはその「結果を生み出した要因」まで含めた可視化」が出来なければ「持続可能」な取り組みにはなりません。

これは弊社にご相談いただく様々な自治体様に多く見られる問題なのですが「効果の可視化」と「結果の可視化」を混同しているケースが非常に多くあります。はっきり言えば「結果」は可視化出来て当たり前ですが、施策の「効果」として検証するにはデータの築盛や緻密な計測設計、そしてそれらを網羅したダッシュボードによるPDCAが必要なんですね。

というのも、シティプロモーションで何かしらの事業を実施したことと、その結果は必ずしも因果関係が明示できるものばかりではありません。もっと言えばシティプロモーションの事業におけるPDCAで「因果関係」や「仮説」について、明確な根拠をもって把握できなければ、それは一過性のものでしかなく、結論として持続可能な営みにはならないわけです。

現実的には自治体におけるシティプロモーションの営みは、ほとんどのケースで「やりっぱなし」になっていることのほうが多いでしょう。ふるさと納税・観光・移住などほとんどのシティプロモーションが関連する領域においてはその時々における社会動向の変化への対応が必要です。また実務として考えると、シティプロモーションにおける当初の訴求や見せ方が正解であることはほとんどなく、実際のデータを見ながらPDCAを回さなければ、シティプロモーションの成功はほぼありません。

となるとやはり適切にPDCAを回すことができる環境づくりが必要になります。真岡市様の事例でもお分かりの通り、実はこの環境を作り、そしてPDCAを回すだけの知識と意識を準備することが、実際のシティプロモーションの営みでは重要になるわけです。

自体向けダッシュボード画像

自らの自治体が「選ばれる」ためのPDCA、しっかり回して改善していきたいものですね。