さて、前回の続きです。前回を一言でまとめるなら
「デジタルマーケティングの担当者は採用してもいいけど、社内で選抜して育成したほうがいいと思いますよ」
ということになります。そちらを踏まえて今回は「育成」編です。
デジタルマーケティングの担当者を育成しよう!
はっきり言ってしまえば、デジタルマーケティングの担当者を社内で完全に内製できる会社はほぼありません。そもそもそんな会社の方は多分このBlogを読んでいないとは思いますが。
茶々を入れるのはこれぐらいにして、弊社が今まで実施してきた「デジタルマーケティングの担当者」育成において大きく5つの「外せないポイント」があるように思いますので、今回はそちらをご紹介しましょう。
その1:自社の価値を言語化できる
いきなりなんやねん、と思われるかもしれませんが、まずはここです。デジタルにおける自社の情報発信において、現在最も頻繁に利用されているのはおそらく自社サイトの自社Blogでしょう(noteとかもあるかもですけど)。そしてそれをtwitterなりfacebookなりで拡散するなり、検索からの流入を狙うなり、何かしらのサイト来訪を期待しているはずです。本来の定義とはちょっと違いますが「コンテンツマーケティング」なんていい方をしている人もいますね。
最近はYoutubeの活用もありますが、デジタル上の接点で消費者に自社を知ってもらう、理解してもらうためには、そもそも「自社の価値」を徹底して言語化できないといけません。これだけ情報が溢れている世の中ですし、いろいろな会社があるわけなので「自分の会社の特長」だったり「提供価値」だったりを「徹底的に」言語化して文章を書いていかないとそもそも見られませんし、仮に見られたとしても伝わりません。
その2:因数分解ができる
これはまさしく数学的な意味です。弊社が色んなところで口を酸っぱくして語る「ゴールとKPI」を作ることができる素養がまさしく「因数分解」なんですよね。
一番わかりやすい例を出せば「売上額=売上単価×販売回数」という形で、自社のマーケティングのゴールを分解してKPIに落とし込む力だと言って良いと思います。問題なのはこれって簡単そうに見えて実は結構厄介なんです。
一つ例を出しましょう。いわゆる「コンバージョン」が「問い合わせ」と「資料ダウンロード」では当然コンバージョンの価値は違います。一般論から言えば「問い合わせ」のほうが確度が高いと見て良いでしょう。そして実はもう一つ違う点があるんです。それは「問い合わせ」は基本的に「人数」であることが多いのですが(一人の人が複数回「問い合わせ」をすることは実はあんまりない)、「資料ダウンロード」って「回数」なんですよね。極論を言えば100回の資料ダウンロードが1人のユーザーから発生することも理論的にはありうるわけです。
となると、資料ダウンロードの適切なKPI設計は一人あたりどれくらいダウンロードしてくれるのか、という実数値(または予測値)という変数が必要になります。
このように「正しく因数分解」できる力はデジタルマーケティングの担当者にとって必須スキルだと言えるでしょう。
※実際には「ビジネスモデル理解力」と置き換えたほうが良いとも思っています。
3.顧客理解力
これは弊社のBlogの連載でもある「ルーシーちゃんシリーズ」でも書いたとおりなのですが、実際の顧客像をどれだけ把握しているかもやはり重要です。実際に1の言語化能力と2の因数分解能力があったとしたとしても、顧客像がずれているとだいたい失敗します。
例えて言えば「ニキビの治療薬」なんかがわかりやすいでしょう。基本的な価値としては「ニキビを治してきれいな肌」ですし因数分解は「売上=単価×販売数」になるはずです。さて、ニキビ治療薬の「顧客」って誰でしょう?おそらく皆さん、最初に思い浮かんだのは「思春期の女子(男子)」じゃないでしょうか?
決してそれで間違いではないのですが、日本においてはニキビが出始めるのは速いと10歳前後からとなります。思春期にしても中学生と高校生じゃ違います。さて中学生とか高校生って、ネットで決済できるクレジットカード、持ってましたっけ??
つまり「顧客像」として思春期の中高生を想像するところまでは良いのですが、実際に決済をする親に対しての情報発信も実は重要だったりする、という話になるんですよね。ここがずれてると発信する情報もおかしくなりますし、サイト来訪においても中高生だけをターゲットにしててよいのか、という話にもつながってきます。
その4.技術にアレルギーがない
もうこれは永遠の課題的な印象すらありますが、やはり技術を避けては「デジタルマーケティングの担当者」としては厳しいと言わざるを得ません。
BtoCでもBtoBでも効果計測をするためにはツールの導入が必要です。もっと言えばMA、CRM、サイト構築、etc…と、結局デジタルマーケティングを実践するためにはテクノロジーに対しての理解度がゼロだとどうしようもないんですね。
これは必ずしもプログラムが書けないといけない、というわけではないと思いつつも、最低限エンジニア(社内とか社外とか関係なく)と要件を詰められるだけの議論ができるレベルでの技術知識は最低限必要です。
そのためにはまず技術用語についてのアレルギーを持たないことが大切になります。わからないことがあればきちんと聞いて、細部まで齟齬がない議論ができるだけの能力を身につけておかないと「こんなはずじゃなかった」とツールの導入後に頭を抱えることになりかねませんし、実際そうなっている会社は多くあります。
5.メディア・施策の知識
そして、やっと五番目で「デジタルマーケティング」らしいお話になります。
例えばリスティング広告、ディスプレイ広告、ソーシャルメディア(非広告)、SEO、メールマーケ、Etc….はっきり言えばデジタルマーケティングの施策の幅は膨大です。1から4まで書いた知識や能力をフル動員した上で、自社のマーケティングにおいて最も適切な施策を「決める」力がなければ「デジタルマーケティングの担当者」として機能しているとは言えませんし、最終的には「外注業者に丸投げ」する担当者になってしまいます。
ただ、それでもここについては「外注する」という選択肢があるにはあるんですよね。
広告なら広告代理店さんがいますし、SEOならサイト制作会社、ソーシャルメディアマーケティングの専門コンサルタントもいます。
無論自分でわかっておいたほうが良いでしょう。ただ最終的には上に書いたような「専門家」と連携することで実施をすることが多いことを考えれば、実はここの項目は「限りなく必須に近いけど推奨します」というスキルでもあります。
だから弊社にお任せください!というわけではありません
普通なら「デジタルマーケティングの人材育成」を看板に掲げている弊社なので「以上をすべてカバーできるsembear合同会社にお任せください!」と書きたいところですが、今回に限ってはそうでもありません。
というのも弊社の「デジタルマーケティング担当者育成」はヒアリングをもとにしたカスタマイズサービスとなります。言い換えれば「ヒアリングした結果今のままで問題ない」と弊社が判断することもありえますし、ヒアリングの結果問題点があればそのご指摘のもと御社で改善していくことも可能です。そしてヒアリング自体は無料ですので、お話を伺うことはさせていただきますが「弊社にお任せください!」というサービスでもないんです。
自社でデジタルマーケティングの担当者を育成しようという方、デジタルマーケティング部を立ち上げようとしている方、ぜひご相談ください。弊社の人材育成サービスをご利用するにせよしないにせよ、おそらく無駄な時間にはならないと思います。