マーケティングにおける「認知」と「数値化」

ふわっとしたゴールは危険がいっぱい

「デジタルマーケティングの人材育成」というお仕事をしていると、犬が棒にあたるくらい頻繁に聞かれる質問があります。それは「認知を目的とするときにどのように考えればよいのかわからない」というやつです。

確かに「認知」っていうのは難しいです。その理由は極めてシンプルで「認知したかどうかを明確かつ客観的に計測する方法がないから」ということになります。無論ブランドリフトなりアンケート調査なりというのは手法としてはありますが、それでもCVほど「明確で客観的」かといわれるとなかなか難しいのではないでしょうか?

態度変容を徹底的に考え抜こう

よ「今回のキャンペーンは認知目的だからインプレッション数がゴールです!」という意見って皆さんどこかで聞かれたことがあるかと思います。と同時に「でも広告見ただけで認知って言えるの?」という疑問符を持たれた方も多くいるはずです。

CVと違い、認知はユーザーが認知したかどうかについて明確な行動ではわかりません。そもそもViewableだったのかどうか、という問題すらあります。それではクリックはどうでしょう?少なくともサイトに来訪しているという能動的な行為がある以上単なるインプレッションよりは認知度は高いかもしれませんが、それでも滞在時間が5秒とかで直帰していたらそれは認知といえるのでしょうか?

このように「認知」の定義は実は非常にあいまいで現状の広告配信レポートやアクセス解析のレポートだけで論ずると、いかようにも解釈ができてしまいます。コンバージョンは「申し込みフォームに入力した後Thank youページを見た」という行為があるので、定義が明確ですし、解釈もそこまでぶれません(全くぶれないわけではないけれど)。ここが多くの企業で「認知って何?」という禅問答的な袋小路に入り込んでしまう理由です。

という背景がある中で、一つ重要な考え方があります。それは弊社がいつも言っている「態度変容」を定義することです。

「認知」をしたユーザーのそのあとの行動は?

コンバージョンとは違い、認知はそこからユーザーの態度変容が始まります。(実際にはコンバージョン後にもあるのだけれど、あくまで獲得時は、ということで)

したがって「認知が目的」というのは理屈的にはわかるのですが「認知したままユーザーがなにもしない」というのは意味がないわけです。つまりインプレッションにせよクリックにせよ、その瞬間「認知した」という定義をすることは重要ではあるものの、むしろ「認知した後どうなったか」という態度変容を明確にしなければ「とりあえず表示しただけ」であったり「クリックしただけ」という状況で終わってしまいます。

言い換えれば「認知」から始まるユーザーの心境変化と行動変化、つまり「態度変容フロー」の設計ができているか否かが「認知とは何ぞや?」という禅問答に対する一つの回答になります。

もし今「認知獲得キャンペーン」に取り組んでいる代理店のコンサルタントの方や企業のマーケターの方がいらっしゃったらぜひ考えていただきたいのですが、ユーザーは今実施している「認知」を獲得した結果、どのような心境になり、そしてどのような行動になるのでしょう?

すごく雑な表現ですが「認知をしたら指名検索をする!」という回答を考えてみましょう。この一文を深く考えると「指名検索をするほどサービス名を記憶しており、そして自発的な検索行動をするほど能動的に情報収集をしている」ということになります。言い換えれば、ここまでのユーザーの行動変化を引き起こすための施策とそのゴールとして「広告を見ただけ」というのはかなり無理があると直感的にも分かるはずです。

それでは「指名検索」から逆算してみましょう。指名検索を引き起こすためには相応に自社に対して高いレベルの興味関心を持ってもらわなければなりません。そのためにはユーザーに対して相当なレベルでの情報提供が必要なはずです。

そう考えると「指名検索」の前にサイトコンテンツやソーシャルメディア、またはYoutube動画などによるユーザーへの情報提供が必要になります。ひょっとするとリターゲティングも必要かもしれません。これらの接点による消費者への情報提供は広告でももちろん可能ですが、前提としてサービスを知っていることが前提となります。

サイトコンテンツであれば自社サイトへの来訪ですし、ソーシャルメディアであればフォローをしてくれているはずです。したがってこの段階を実現する前段階として「認知」というフェーズが存在することになります。

今回のケースであれば情報提供による消費者の態度変容を引き起こすためには、まず自社のサービスについて何かしらの接点でもって知ってもらう、ということが必要になるわけで、となると「認知」の定義としては「広告を見ただけ」というのは考えづらくなります。「クリック」は「インプレッション」よりも適切な印象ではありますが、このクリックをしてくれた人のうちどれくらいが次のフェーズに移ったのかを計測ができることで、より正確な「認知」の定義が可能になるわけです。

データとレポートはその場限りのものじゃない

このように「認知の効果」というのはユーザーの態度変容について明確な仮説と計測がない状態では「やってみただけ」という状況になりかねません。クリックをしてくれたユーザーのうち何パーセントが次の行動に移ったのかがわかれば、改善の余地も分かってきます。

したがってそれぞれの媒体やそれぞれの施策の数値やデータは、各々の改善のために使うだけではなく、それぞれをつなげたユーザーの行動を分析するように見ることが大事だ、という結論になるわけです。弊社では米TapClicks社と連携したSMARTレポーティングにより、上記のような環境を規模の大小を問わずご提供しております。認知から獲得までの全容を数値化したいかた、ぜひお問い合わせください!